2009 Fiscal Year Annual Research Report
行動生態情報を指標とした、シロクラベラ人工種苗の養成技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
08J02422
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河端 雄毅 Kyoto University, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロクラベラ / テレメトリー / 人工種苗 / 馴致 / 被捕食関係 |
Research Abstract |
平成21年度の研究では、まず、平成20年度までに取得したデータから短期馴致手法の検討を行った。平成20年度までに行った結果から、全長6cmの個体は砂の上に硬い基質があると好んで隠れ家として利用することが明らかになっている。そこで、放流予定サイズである全長9cm以上の個体でもこのような基質を利用するかどうかを確かめた。その結果、全長9cmでも硬い基質を隠れ家として利用すること、基質の下を掘って「巣」のような隠れ家を作ることが明らかになった。 次に、上記の結果を基に、基質への馴致が捕食者(ナミハタ)からの被食率を軽減させるか否かを調べる水槽内被食実験を行った。シロクラベラ人工種苗に3つの異なる処理:基質馴致有り+基質有り;基質馴致無し+基質有り;基質馴致無し+基質無しを施した。処理後24時間、ナミハタの捕食圧に曝し、4時間毎に基質の利用頻度と生残・被食数を測定した。その結果、基質に馴致した区がその他の処理区より基質の利用頻度および生残率を向上させることが明らかになった。 続いて水槽実験での結果を基に、野外で超音波バイオテレメトリーを用いた仮説検証実験を行った。発信機を装着した種苗を基質有りもしくは無しの状態でカゴ網を用いて5日間海底に馴致し、直接放流群と併せて放流した。放流後、設置型受信機を用いて68日間モニタリングを行った。その結果、基質有りで馴致した区がその他の処理区より高い滞留率を示すことが明らかになった。 以上の結果から、基質への馴致が本種人工種苗の放流後の生残率を向上させることが示唆された。今後、本実験結果を実際の放流現場に応用することが重要であると考えられる。
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[Journal Article]2009
Author(s)
河端雄毅(分担執筆)
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Journal Title
放流後のシロクラベラの行動は?WAKUWAKUときめきサイエンスシリーズ1「バイオロギング-最新科学で解明する動物生態学」(京都通信社)
Pages: 138-141
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