2008 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ礁生態系保全に向けたベントス個体群の多重時空間スケール動態構造の解明
Project/Area Number |
08J02461
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
安田 仁奈 Fisheries Research Agency, 瀬戸内海区水産研究所赤潮環境部, 特別研究員(PD)
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Keywords | SEA-WP海域 / マイクロサテライト / reef-connectivity / オニヒトデ / アオサンゴ / 集団遺伝構造 / ナマコ |
Research Abstract |
サンゴ礁劣化速度が世界で最も速いCoral triangleを中心とする複数海域において、8種類のナマコ、オニヒトデ・アオヒトデ、アオサンゴのサンプル採集を行った。アオサンゴに関して、沖縄本島東海岸で新規に発見された大浦湾の80m×30mの大群落は、マイクロサテライト(MS)マーカーで解析した結果、単一の遺伝子型をもち、大群落全体が単一の幼生から形成されたものであることがわかった。また、台湾・パラオ・琉球列島各地19地点で採集したアオサンゴ集団をMSマーカー7遺伝子座で解析した結果、集団間の遺伝的距離は非常に大きく、各集団間は統計的に有意に分化しており、明瞭な遺伝的構造を持つことが判明した。このことから、保育型サンゴであるアオサンゴは、最大12日間の幼生分散の潜在能力を持つにも関わらず、実際の幼生分散は親個体のごく近傍までしか起こっていないことがわかった。また、国立公園である石西礁湖内ではヨナラ海道を隔てた東西においておおきな集団分化が起こっており、保全の際は東西の群集を個々に保全する必要性があることがわかった。さらに、石垣島東岸のアオサンゴ大群落のある白保海域において、網羅的にサンプルを採集し、MSマーカーで解析した結果、サンゴ礁の礁嶺を隔てて、近距離であるにも関わらずサンゴ礁内部と外洋で有意な集団分化が起きていることが分かり、礁嶺が遺伝子流動の物理的障壁となっていることがわかった。アオヒトデに関して、コンパウンドPCR法により8つのMSマーカーの開発に成功した。クリイロナマコをミトコンドリアDNAの16sRNAの領域で解析した結果、同一採集地点内であるにもかかわらず、大きく2つのクレードに分かれることがわかり、隠ぺい種の可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)