2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス嗅覚受容神経細胞におけるHCNチャネルの役割についての解析
Project/Area Number |
08J03893
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 則行 Kyoto University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | spontaneous activity / olfactory receptor neuron / hyperpolarization activated cyclic / nucleotide gated channel / HCN channel |
Research Abstract |
昨年までに、HCN電流が嗅細胞の自発発火に影響を与えることが分かった。引き続き電気生理学を中心に研究を行った。まず細胞外記録を実施した。cAMPの合成をSQ73122によりブロックすると自発発火が抑えられることが分かった。嗅覚細胞において細胞内cAMPが活性化に影響を与える主なチャネルとしてCNGチャネルとHCNチャネルがあるが、このうちCNGチャネルをアミロライドでブロックしても自発発火は変化せず、嗅覚細胞における自発発火に関わる電流はHCN電流であることが強く示唆される。細胞体には、カルシウム依存性PDEが存在しており、定常状態ではPDE活性が低くcAMPはある程度蓄積していると考えられる。さらにPIキナーゼ阻害薬Wortmanninにより自発発火が抑えられることから、膜のイノシトールリン酸が関与していることが示唆された。ホールセル記録によっても、HCN電流が細胞膜のイノシトールリン酸により、活性化されている可能性を示唆した。嗅覚細胞においては、以前から知られるcAMPに加えてイノシトールリン酸によってもHCN電流の活性が大きく左右すると考えられる。つまり定常状態では細胞体付近のHCN電流はcAMPとイノシトールリン酸により活性化されており、静止膜電位付近での脱分極電流を担うと考えられる。cAMPやPIP2は、様々なGタンパク共役受容体により調節されており、嗅覚細胞においてHCNチャネルを通して、生理的な状態での定常状態をコントロールするのに役立っていると考えられる。現在は、この知見について学術論文としてまとめている段階である。
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