2008 Fiscal Year Annual Research Report
ケテンジチオアセタールモノオキシドの特性を利用した新たな合成反応の開発
Project/Area Number |
08J04263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 優 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケテンジチオアセタール / ケテン等価体 / プンメラー反応 |
Research Abstract |
ケテンジチオアセタールモノオキシドはエチレンの同一炭素上にスルファニル基とスルフィニル基を有する化合物で有用なケテン等価体である。また、合成、単離、精製も容易であるため、大量合成にも適している。したがって、ケテンジチオアセタールモノオキシドの特性を活かした反応の開発は魅力的かつ有用である。そこ研で申請者は、ケテンジチオアセタールモノオキシドを出発原料とする多置換フェノール合成反応の開発に着手した。本研究の過程において、ケテンジチオアセタールモノオキシドの興味深い反応性を見いだした。これを展開することで、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を用いるケテンジチオアセタールモノオキシドのアリール化反応を見いだした。すなわち、ニトロメタン中、芳香族化合物存在下、アリールケテンジチオアセタールモノオキシドにトリフルオロメタンスルホン酸無水物を作用させると、ジアリールケテンジチオアセタールが得られた。本反応により、多置換芳香環を有するケテンジチオアセタールを合成することができた。この反応では、トリフルオロメタンスルホン酸無水物がケテンジチオアセタールモノオキシドを活性化し、新規な求電子剤が生じ、これに芳香族化合物がFriedel-Crafts反応することで進行したものと考えている。本反応を分子内反応に展開することで、有用な多置換フェナントレンの合成法の開発にも成功した。この成果は、有機合成化学のみならず、医薬品製造化学や材料化学にとっても大いに貢献するものと考えている。
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