2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフトを標的とする膜孔形成毒素のオリゴマー分子集合化と膜挿入機構
Project/Area Number |
08J05033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋田 拡靖 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 膜孔形成毒素 / パラスポリン / Bacillus thuringiensis |
Research Abstract |
膜孔形成毒素は自然界に幅広く存在している毒素タンパク質である。膜孔形成毒素は標的細胞膜へと結合した後、オリゴマー化し、細胞膜へと挿入される。その結果として細胞膜傷害を引き起こすと考えられている。本研究では細胞膜傷害において必須な反応である毒素の分子集合化と膜挿入機構の解明を目的とし、膜孔形成毒素の1つであるパラスポリン2を用いて解析を行っている。これまでの研究により、パラスポリン2はこれまで考えられていたより巨大な複合体(Assembly I)を形成することが明らかとなった。今年度は他の毒素におけるAssembly I形成の解析、パラスポリン2のAssembly I形成条件の解析、およびAssembly I構成因子同定に向けた解析を行った。解析の結果、エロリジン、イプシロン毒素においてもAssembly Iの形成が確認され、膜孔形成毒素は細胞膜に挿入された巨大複合体を形成することが示唆された。パラスポリン2 Assembly Iの形成条件を調査したところ、生体膜と温度が必要であることが分かった。また、低温で生体膜とパラスポリン2を作用させるとAssembly Iより小さな複合体(Assembly II)を形成することが明らかとなった。パラスポリン2のAssembly Iに対し、各種生体分子の分解酵素を作用させたところ、プロテアーゼに耐性な成分とプロテアーゼにより分離・分解されてしまう成分で構成されていることが示唆された。パラスポリン2 Assembly Iを構成するタンパク質を明らかとするため、Assembly Iの精製を試みた。パラスポリン2のC末端にヒスチジンタグを付加し、ヒスチジンタグに対する免疫沈降法を行った。精製されたタンパク質をSDS-PAGE並びに銀染色で解析したところ、SDS耐性オリゴマーのほかに25kDa付近に細胞由来と考えられるタンパク質のバンドが検出された。
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Research Products
(4 results)