2008 Fiscal Year Annual Research Report
同位体を用いたナノCMOSにおけるシリコン-不純物相互作用の研究
Project/Area Number |
08J05039
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 康雄 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シリコン / 同位体 / 超格子 / イオン注入 / 拡散 / 半導体デバイス |
Research Abstract |
本研究の目的は,基板シリコン(Si)に対するイオン注入およびその後の熱処理過程で生じる添加不純物原子と母体Si原子の相互作用の解明である.異なる同位体Siの質量の違いを利用して,基板Si中のSi分布を自ら設計し,イオン注入や熱処理過程における母体Si原子と不純物拡散を同時に厳密に調べた.この実現によって,ナノサイズの半導体CMOSデバイスに対応するプロセスシミュレータに取り入れられるべきモデル・物性バラメータの決定が可能となった.本研究では代表的な不純物としてホウ素(B)を用いた.以下の手順で実験・理論計算を行った. 1.天然Si層/^<28>Si層の周期構造(以下,Si同位体超格子)を固体ソース分子線エピタキシー装置で作製した.各層の厚さを10nm程度に設計した.Bの注入量は拡散熱処理温度におけるSi中のキャリア数密度以上の値を選択し,表面から数十nm内の領域にイオン注入し,その後の熱処理で原子拡散を誘発させた.そして二次イオン質量分析評価によって添加B原子と^<30>Siの深さ方向分布を同時に得た.天然Si層中,^<28>Si層中に含まれる^<30>Si濃度の違いを利用することでSi自己拡散評価が可能となった. 2.理論計算では,Si中のB原子の過渡的増速拡散やB-Siクラスターの拡散機構を考慮した複雑な拡散方程式を数値的に解き,Si同位体超格子中のSi分布の再現に成功した.これによりSi格子間原子の電荷状態や拡散係数を定量的に評価できた.別実験でSi中のB原子の真性拡散係数も導出した. 3.上記の原子の拡散現象観測と並行して,断面の透過型電子顕微鏡による観察も行い,イオン注入によって形成された非結晶層が,その後の熱処理によって再結晶化する過程や注入損傷による欠陥なども調べた.
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