2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J05306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土岡 俊介 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヘッケ環 / 量子群 / 分岐則 / 幾何学的群論 / 増大度関数 / 測地的有限オートマトン / 超代数 / 結晶基底 |
Research Abstract |
ヘッケ環の表現論は、しばしばこれとは一見無関係に思われるリー環的対象(Kac-Moodyリー代数や量子群、およびそれに付随した最高ウェイト表現や結晶基底など)を用いて記述できる。たとえば、A型アフィンヘッケ環の整表現のモジュラー分岐則は、適切なアフィン量子群の結晶基底を用いて記述される。このようなヘッケ環の表現論とリー環論の関連は、他の種類のヘッケ環でも知られているのだが、ここに現れるリー環論は今まで2種類しか知られていなかった。本年度は、JonesとNazarovによって導入されたアフィンヘッケ・クリフォード超代数の表現論の研究を開始し、メインパラメータがある条件のもとでは、今まで関連が知られていなかった種類のリー環論を用いて、この超代数の表現論のいくつかの部分が記述できることを示した。これはBrundanとKleshchevによって得られていた、メインパラメータが1の奇数乗根の場合と同様の手法で証明されるのだが、長い間見逃されていたものである。 また、昨年に引き続き、環積のモジュラー表現論、一般化されたA型退化ヘッケ環の表現論、結晶基底の組み合わせ論等の研究を行ったほか、斎藤恭司教授のLimit elementの理論に関連して、同氏ら数名と幾何学的群論(とくに増大度関数)に関する共同研究を行った。有限型アルチン群のある生成系についてCharneyは測地的有限オートマトンを構成していた。我々はこれを用いて有限型アルチンモノイドの標準的な生成系に関する測地的有限オートマトンを構成した。
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