2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報に立脚した二次代謝酵素の発掘及び新規物質生産系の構築
Project/Area Number |
08J06168
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
淡川 孝義 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 糸状菌 / I型ポリケタイド合成酵素 / チオエステラーゼ / アントラキノン |
Research Abstract |
糸状菌Aspergillus terreusのゲノム情報を元にブラストサーチを行い、emodin anthrone合成酵素として、Atrochrysone carboxylic acid synthase(ACAS)を見出した。ACASはTEドメインを持たないI型ポリケタイド合成酵素(PKS)であり、生成物の解離の様式に興味が持たれた。種々の生化学的実験の結果より、ACASに隣接したORFであり、b-lactamaseホモログであるAtrochrysone carboxyl ACP thioesterase(ACTE)がチオエステラーゼ活性によりACPとACASの反応中間体間のチオエステルを加水分解し、ACASの生成物の解離を触媒することが明らかとなった。結果、ACAS、ACTE反応の生成物としてAtrochrysone、endocrocin、emodin、emodin anthroneなどのアントラキノン類が得られた。本研究においてβ-lactamase様thioesteraseであるACTEがTEドメインを持たないI型PKSであるACASの生成物の切り離しに関わることがin vitroにて初めて示された。本研究は糸状菌のアントラキノン類の生合成に大きな知見を与えた。また、本研究において、atrochrysoneが4.3mg/L、endocrocinが5.4mg/L、emodinが2.7mg/L、endocrocin anthrone homodimerが75mg/Lの収量で得られる糸状菌Aspergillus oryzaeでのACAS、ACTE共発現系を構築することができた。この系は抗鬱成分であるヒペリシン等、アントラキノン類のコンビナトリアル生合成の基盤となると考えられる。また、現在希少放線菌Actinoplanes missouriensisのIII型PKSクラスターの機能解析を行っている。
|