2008 Fiscal Year Annual Research Report
地殻歪に対する大気中ラドン濃度及び空間線量率の応答
Project/Area Number |
08J06445
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 康孝 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラドン / 放射線 / 大気 / 地殻 / 地震 / 電磁気 |
Research Abstract |
本研究課題は,地殻上部の変形挙動に対する大気中ラドン濃度・放射線の応答および地震前兆として生じる前駆現象との関係を解明することを目的とする.本年度は,以下の3つの研究成果を得た. 1.大気中ラドン濃度異常と地震前駆地殻歪変動:兵庫県南部地震に先立ち,大気中ラドン濃度・地殻歪・地下水湧水量・地下水中ラドン濃度の異常変動が認められた.本研究では,それらの経時変動の比較を行い,大気中ラドン濃度変動が地殻歪変動に最も呼応していたことを明らかにした.さらに,大気中での観測は地質構造の不均一性の影響を受けにくいことを指摘した. 2.大気中ラドン濃度異常と地震前駆電磁気現象:地震発生前に電磁気の異常現象(大気電場や電離圏の異常)が報告されている.その原因の1つとしてラドンの異常放出が挙げられている.本研究では,ラドン放出による大気電気パラメータの変動量を見積り,下層大気で認められる電磁気現象はラドン放出により説明できることを示した.さらに,電離圏へのラドンの影響は,大気の動的過程を考慮する必要があることを指摘した. 3.宮城県牡鹿半島の大気中ラドン濃度季節変動:ラドンを介した地殻-大気間の相互作用が地震前兆期の電磁気現象に重要な役割を果たしていると考えられる.しかし,気象要素の影響を評価する必要があり,地震前兆期の地殻-大気間の相互作用は明らかではない.本研究では,宮城県牡鹿半島の大気中ラドン濃度が夏季と冬季にピークを持つことを示した.冬季のピークは気象要素変動の寄与が高い一方,夏季は地殻からのラドン放出の寄与が高いことを明らかにし,季節により大気中ラドン濃度の変動要因が異なることを指摘した.
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