2009 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎障害の治療のためのTGF-β1標的新規遺伝子制御薬、PIポリアミドの創薬
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08J06618
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松田 裕之 Nihon University, 大学院・総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | PIポリアミド / 腎硬化症 / TGF-β1 / 遺伝子治療薬 / HCaRG / 尿細管上皮細胞 / 急性腎不全 / differentiation |
Research Abstract |
1、進行性腎障害の治療目的に標的遺伝子TGF-β1のプロモーター領域にデザインされたPIポリアミドを、進行性腎障害のモデルラットに投与したところ、未治療群に比べて腎臓の糸球体障害や、間質の繊維化の有意な改善効果がみられた。このPIポリアミドは、投与間隔依存性に腎皮質のTGF-β1、細胞外基質の発現、尿蛋白も減少させた。特異性についてマイクロアレイを用いて検討したところ、30000以上の遺伝子のうち変化のあった遺伝子は約3%であった。このうち成長因子、サイトカイン、細胞外基質について詳細な検討を行ったところプロモーター領域にTGF-β1と同様のAP-1結合領域をもつ遺伝子は4種類であったが、いずれもTGF-β1シグナルの下流に存在する遺伝子であった。現在、これら変化あった遺伝子に関して、役割やシグナル伝達、副作用など詳細な検討を行っている。 2、The hypertension-related, calcium-regulated gene(HCaRG)の腎臓での役割について検討するため、ヒトHCaRGを腎臓に過剰発現させた遺伝子改変マウスを作成し、腎動脈虚血再還流マウスの急性腎不全モデルを用いて実験を行った。HCaRGは急性尿細管障害後の生存率を約2倍改善した。また、腎機能低下も有意に抑制していた。尿細管上皮細胞の増殖を調べたところ、HCaRGは間質の繊維芽細胞には影響を与えず、尿細管上皮細胞の増殖のみを抑制していた。尿細管上皮の表現系を調べたところ、遺伝子改変マウスでは、明らかに成熟型の尿細管上皮細胞が多いことが分かった。以上より、HCaRGは腎障害後の治癒過程において、尿細管上皮細胞の細胞周期をコントロールし、脱分化した尿細管上皮細胞を、成熟型細胞に誘導することにより、急性腎不全後の生存率を改善したものと推測された。
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Research Products
(5 results)