2008 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲン三重螺旋構造の熱安定性とフォールディング機構の解明
Project/Area Number |
08J06688
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 一樹 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | コラーゲン / フォールディング / 19F-NMR |
Research Abstract |
脊椎動物中に最も多く存在する蛋白質であるコラーゲンは、骨や腱等の結合組織の主要成分であり、三重螺旋構造を形成することで組織維持に必要な強度と弾力性を獲得している。また、コラーゲンは細胞外マトリクスとしても働き、接する細胞に対して、増殖、分化などのシグナルを与える役割も担っていることから、再生医学の分野において生体材料としての応用が期待されており、その構造物性の詳細な解析が重要な課題となっている。しかし、天然コラーゲンの繊維性による取り扱いの難しさと、三重螺旋構造の対称性およびXaa-Yaa-Glyの特徴的な繰り返し配列が、NMR法などの解析法の適用を困難にする為、詳細な物性情報が得られた例は少ない。 これらの問題を解決するため、定まった重合度を有するモデルペプチド(Xaa-Yaa-Gly)_nを固相法により合成し、様々な物理化学的および構造生物学的測定を行うことで、従来まで繊維性のため解析困難であったコラーゲンの三重螺旋構造の熱安定性及びフォールディング機構の解析を行った。特に、フォールディング機構および構造に関する詳細な情報を得る為、構造プローブとしてフッ素原子を導入したイミノ酸である4(R)-fluoroproline(fPro^R)を組み込んだペプチド(Pro-fPro^R-Gly)_n(n=1〜7)を合成し、^<19>Fを観測核とした^<19>F-NMR法を適用した。その結果、^<19>F-NMR法は、^<19>F核の化学シフトが周囲の環境に非常に敏感である為、^1H,^<13>C,^<15>Nを観測核としたコラーゲンのNMRスペクトルに見られる信号の重複の問題を解消し、良質なスペクトルを与えた。この結果から、上記ペプチドの原子レベルでの構造情報および中間状態を含むフォールディング機構に関する情報を得ることが可能になると同時に、^<19>F-NMR法がコラーゲンの物性を解析する優れた手法になることが明らかとなった。
|