2009 Fiscal Year Annual Research Report
アブシジン酸とジャスモン酸メチルの気孔閉口シグナルネットワークの解明
Project/Area Number |
08J06690
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宗正 晋太郎 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 気孔 / 孔辺細胞 / アブシジン酸 / ジャスモン酸メチル / イオンチャネル / カルシウムイオン / 活性酸素 / 植物 |
Research Abstract |
気孔は植物の葉の表皮に存在し、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散による水分の放出を制御する重要な器官である。植物は、環境の変化に迅速に適応するために、気孔の開口度を厳密に制御している。本研究は、気孔の閉口を誘導する植物ホルモンであるアブシジン酸とジャスモン酸メチルのシグナル伝達ネットワークを解明することを目的としている。本年度の研究で、シロイヌナズナのタンパク質リン酸化酵素であるMPK9とMPK12をアブシジン酸シグナル伝達経路で機能する新規の因子として同定した。MPK9とMPK12は、アブシジン酸のシグナル伝達経路においてセカンドメッセンジャーとして機能する活性酸素種の下流で機能していた。また、MPK9とMPK12は植物の低温ストレス耐性にも関与していることを明らかとした。ジャスモン酸メチルシグナルについての研究成果として、シロイヌナズナのカルシウム依存性タンパク質リン酸化酵素であるCPK6の機能解析を行った。電気生理学的解析の結果、CPK6はジャスモン酸メチルによる孔辺細胞原形質膜カルシウムイオンチャネルの活性化に関与していることを明らかにした。また、カルシウム指示蛍光タンパク質であるイエローカメレオンを発現した植物体を用いて実際に孔辺細胞内のカルシウムイオン濃度変化を観察した結果、CPK6の遺伝子破壊変異体においては、ジャスモン酸メチルが誘導する孔辺細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇が抑制されていた。以上の結果からCPK6は、ジャスモン酸メチルのシグナル伝達経路において、カルシウムイオンチャネルの活性化に関与しており、孔辺細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇を制御する重要な因子の一つである事が示唆された。
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