2009 Fiscal Year Annual Research Report
高度に設計されたポルフィリン錯体による金ナノ粒子の被覆:相乗機能発現と集積機能化
Project/Area Number |
08J06872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大山 順也 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 粒径制御 / ポルフィリン |
Research Abstract |
採用第一年目は,ポルフィリン保護配位子の設計と合成,および,ポルフィリン被覆金ナノ粒子の調製と構造の評価を検討し,新規に合成した四つの硫黄原子を同一方向に有するポルフィリン保護配位子を用いて金ナノ粒子を合成することができた.特に,末端官能基にジスルフィド結合を持つポルフィリン保護配位子は,非常に効率よく金ナノ粒子の粒径を小さく留めることができることを見出した.採用第二年目である本年度は,金ナノ粒子の生成過程における保護配位子の役割について検討を行い,末端にジスルフィド結合を有するポルフィリン保護配位子が金ナノ粒子の粒径を小さく留めることができる理由についてアプローチした.金ナノ粒子の生成過程は,X-ray Absorption Fine Structure (XAFS)分光法を用いて観察した.金ナノ粒子は,塩化金酸と保護配位子を含むDMF溶液にNaBH_4を加えることで調製した.この反応は非常に速いために,ミリ秒オーダーの時間分解XAFS測定が可能であるSPring-8のBL40XUでXAFS測定を行った.得られた一連のX-ray Absorption Near Edge Structure (XANES)スペクトルを解析することにより,Au^<3+>イオンが還元され,Au^0単量体と核の形成を経て,粒子成長が進行することを捉えることができた.また,対照化合物を用いて,同様に測定,解析を行った結果,末端にジスルフィド結合を有するポルフィリン保護配位子は,金ナノ粒子の粒子成長を強く抑制することが示された.また,本研究で採用した,NaBH_4還元による金ナノ粒子の調製法は,一般的に用いられる方法であるが,その反応過程を捉えられた例はなく,本研究が初めてである.
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