2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06882
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貝塚 公一 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 対称空間 / 擬微分作用素 / 平滑化効果 / 超局所解析 |
Research Abstract |
非コンパクト型リーマン対称空間上の不変実主要型擬微分作用素に対する時間大域的平滑化評価について考察した.非コンパクト型リーマン対称空間の具体例としては双曲空間,有界対称領域などがあげられる.一般に,シュレディンガー発展方程式を代表例とする分散型方程式は有限伝播性を持たず,解の特異性が,主表象から生成されるハミルトン流に沿って,速度無限大で伝播する.ハミルトン流がコンパクト集合に捕捉されない場合,時間平均を取ることで解の滑らかさが初期値よりも上がり,平滑化効果と呼ばれる現象が起こる.これまで,ユークリッド空間以外の非コンパクト完備リーマン多様体上で時間大域的平滑化評価が成り立つかどうかはほとんど知られていなかった. 本研究では,一般の非コンパクト型リーマン対称空間のラプラス-ベルトラミ作用素に対する,重み付きレゾルベント評価(Type-I,-II),およびそれらに付随する,シュレディンガー発展方程式の解に対する時間大域的-空間局所的平滑化評価を得ることができた.Abe1変換が測地距離に関する重み付きL^2空間からの連続作用素となることと,J.-Ph.Ankerにより得られたRieszポテンシャルの評価を用いることで,Euclid空間と同じレゾルベント評価を得ることができた.Abe1変換の連続性はHarish-Chandra c-関数の表示式であるGindikin-Karpelevicの公式と、擬微分作用素のWeyl-Hormander対応を用いて,二進分解した作用素のノルムの増大度を評価することで証明される.又,二次元Euclid空間では低周波数までこめた,Type-IIのレゾルベント評価は成り立たないことが知られているが,二次元実双曲空間上では成り立つことが分かった.
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