2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J06991
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 義明 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | チンパンジー / フサオマキザル / 社会的知性 / 駆け引き / 物理的知性 / 因果理解 |
Research Abstract |
社会的な駆け引き: これまでの研究から引きつづき、飼育下でのチンパンジーのハチミツなめ実験とその分析を進めた。複数のチンパンジーがくらす運動場で、ハチミツなめという道具使用場面を設定し、その装置の数を2箇所に限定することで、場所の占有をめぐる個体間の社会的な駆け引きを調べた。実験を実施した際に録画したビデオだけでなく、以前から蓄積されているビデオについても分析の対象として、社会的な駆け引きに注目した分析を進めた。フサオマキザルについても、同様な実験装置を開発し、ハチミツなめができるように訓練をおこなった。チンパンジーの場合と同じく、複数の個体がかかわる集団場面での社会的なやりとりを観察する前の段階として、安定して道具使用ができるように予備訓練をおこなった。 物理的な因果理解: 新たに、フサオマキザルおよびチンパンジーを対象として、2選択型の道具使用実験の準備をおこなった。道具を使って食物報酬を引き寄せるという場面で、道具の形を変えたり、障害物との位置関係を変えたりすることで、2選択肢のうち道具として有効なほうを選べるかどうかを調べる課題だ。物理的な因果関係を正しく理解しているかどうかを調べることができる。先行研究にもとづいて、道具と食物報酬と障害物の配置などについて創案し、装置の作成を進めた。道具と食物報酬との2項目の訓練を開始し、般化テストをおこない、最終的に3項目の課題で訓練するという実験段階の設定を検討し、予備的な馴致をおこなった。おもにフサオマキザルを対象として、種特異的な行動ともいえる環境表面への物の叩きつけ行動を記録し、チンパンジーの道具使用行動と比較した。
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