2009 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ毛包幹細胞の生物学的特性の解析とそれを用いた毛包再構成の試み
Project/Area Number |
08J07102
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小林 哲郎 Gifu University, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 犬 / イヌ / 皮膚 / 幹細胞 / 毛包 / バルジ / 再生 / ケラチノサイト |
Research Abstract |
申請者は前年度にKeratin15を発現したイヌの毛包の中間部領域にin vitroにおける増殖能が高いという幹細胞の特徴を持った細胞が存在することを示した。この結果を受け、平成21年度は1.イヌの毛包における幹細胞の詳細な局在を解明し、2.その領域の細胞の遺伝子発現プロファイルをヒトやマウスと比較し、3.幹細胞に富んだ領域から分離したケラチノサイトのin vitroにおける増殖能を解析した。具体的には、幹細胞が通常の状態では分裂速度が遅い静止期の状態にあるという特徴を利用し、免疫不全マウスにイヌ皮膚片を移植したxenograftの系でラベルリテイニング細胞の検出実験を行った。その結果、イヌにおいてもヒトやマウスと同様に立毛筋の付着部である毛包のバルジ領域に幹細胞の局在を認めた。また、イヌのバルジ領域の細胞の遺伝子の発現プロファイルを解析したところ、ヒトのバルジマーカーであるCD200やDIO2、また種を超えてバルジ細胞の機能維持に重要な役割を持つSOX9やLHX2などの転写因子の発現を認めた。また、単離したわずか1本のイヌ毛包のケラチノサイトを数分画に分け、高い解像度でそれぞれの分画のケラチノサイトを競合的に培養する系を確立し、各々の分画のin vitroでの増殖能を検討した。バルジ領域の会画から分離したケラチノサイトは、大型のコロニーを形成し、幹細胞の特徴の一つであるホロクローンの特徴を示した。さらにそれらのケラチノサイトは長期間に渡って継代を繰り返すことができた。これよりイヌのバルジ細胞がin vitroにおいて高い増殖能を示すことが明らかとなった。これらの結果から、イヌの毛包バルジ領域には幹細胞の生物学的特徴を持った細胞が存在することが示された。次年度は本年度確立が困難であった毛包再構成の系を確立しバルジ細胞の多能性に関する検討をしたい。
|