2009 Fiscal Year Annual Research Report
パノスコピック形態制御による新型実用高効率光触媒の開発および環境浄化への応用
Project/Area Number |
08J07574
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
張 沛霖 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 窒素ドープ酸化チタン / 迅速水熱反応 / 光触媒 / 環境浄化 / 遷移金属 |
Research Abstract |
昨年度は、窒素ドープ酸化チタンを基にし、優れた可視光応答型光触媒の合成について検討した。 従来の手法では、テフロン付きの反応器を使うため、反応温度は240度までしかできず、テフロンの低い熱伝導性のため、昇温時間と反応時間を合わせて2時間以上の処理時間が必要だったが、耐食性ハステロイ合金製反応器を使い、ブロックヒータで反応温度を400度まで迅速に昇温できるシステムを導入することによって、急速加熱効果を実現し、核生成を制御し、短時間で高結晶化度の酸化チタンナノ粒子の合成が可能となり、生成物の特性に及ぼす反応時間の影響を正確に測定できるようになった。新しい反応システムで得られたサンプルは20nmの非常に細かい粒径と150m^2/g以上の高い比表面積を持ち、優れた光触媒活性を示した。尚、反応溶媒と反応時間の影響も検討し、反応条件の最適化を行った。その結果、塩化チタンとヘキサンメチレンテートラアミン(HMT)を出発原料として用い、水を反応溶媒として使い、300℃、10分間の短時間の反応で得られた窒素ドープ酸化チタンが最も高い光触媒活性を持ち、630nm付近の可視光でも優れたDeNO_x活性を示した。 窒素ドープ酸化チタンの活性をさらに向上させるため、遷移金属イオンのコドーピングおよび異種半導体との複合化も試みた。出発原料に遷移金属の塩化物(FeCl_2,NbCl_5,etc.)を加え、水熱反応を行い、サンプルを得た。遷移金属の添加は、酸化チタンの結晶相、比表面積への影響はほとんど見られなかった。Feコドーピングすることにより、可視光吸収能力が向上したが、光触媒活性の大幅低下が見られた。一方、NbとNをコドープした酸化チタンは、窒素ドープ酸化チタンより優れたDeNO_x活性を示し、光触媒活性の更なる向上に成功した。低い正電荷を持つイオン(Fe^<3+>)をドープすることより、粒子内の酸素欠陥が増え、電子とホールの再結合中心になり、活性が低下したが、高い正電荷を持つイオン(Nb^<5+>,Ta^<5+>)をドープすることより、窒素ドープ酸化チタン粒子内の酸素欠陥が減少し、更なる高い光触媒活性を実現できたと考えられる。
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Research Products
(10 results)