2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニック結晶における非線形増大と全光制御型デバイス
Project/Area Number |
08J07620
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 恵治郎 Yokohama National University, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトニック結晶 / 非線形光学材料 / スローライト |
Research Abstract |
昨年度,電子ビームリソグラフィーとICPエッチングによるカルコゲナイドガラス加工プロセスを確立し,Ag-As_2Se_3ガラスに加工精度10nm以下という高精度なフォトニック結晶導波路を作製することに成功した.今年度はそのフォトニック結晶導波路の特性評価をするとともに,さらなる特性改善のため,スローライトが得られる構造へ最適化をした.作製されたAg-As_2Se_3フォトニック結晶導波路の基本特性を評価したところ,Siフォトニック結晶導波路に匹敵する基本性能を示すことがわかった.これの非線形特性特性として自己位相変調(SPM)とこ光子吸収(TPA)を評価したところ,Si細線の160倍という非常に高効率なSPMを示しつつも,性能低下の原因となるTPAは無視できるほど小さいという結果が得られた.また,四光波混合といったほかの非線形現象も観測された.以上のようにカルコゲナイドガラスフォトニック結晶導波路において良好な基本特性や非線形特性の高さを実証したのは我々が世界で初めてのことである.このことは世界的に評価され,IEEE Photonic Society Annual Meetingにて口頭発表するとともに,Optical Society of America発行の論文誌Optics Expressにて論文発表された. さらなる非線形増大を実現するため,低分散スローライトが得られるように構造を最適化した.低分散スローライトを使うことで,光パルスはその形状を保ちつつ空間的に圧縮されるためピークパワーが増大し,その結果,非線形が増大される.3次元FDTD法で解析した結果に基づき,カルコゲナイド低分散スローライト導波路を作製した.作製した導波路において所望のスローライトが得られたので,非線形特性を評価した.その結果,スローライトを使うことで同じSPMを起こすのに必要なパワーを半分に減少させることに成功した.一方でTPAについては低いままであることも確認された.これらは春期応用物理学会で口頭発表した.
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