2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミスマッチ塩基対と金属イオンの特異的結合を利用した一塩基多型の効率的検出法の開発
Project/Area Number |
08J07706
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小笹 哲夫 Tokyo University of Science, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 一塩基多型 / 糖尿病発症関連遺伝子 / ミスマッチ塩基対 / 金属イオン / 電気化学測定 / 等温滴定型熱量計 / SNP / ITC |
Research Abstract |
我々が従来開発してきた一塩基多型(SNP)検出方法は,T:TおよびC:Cミスマッチ塩基対以外が関わる多様なSNPの検出には対応できず,このSNP検出法へのアプローチの適用範囲を広げるためにはT:TおよびC:Cミスマッチ塩基対以外のミスマッチ塩基対と特異的に結合する金属イオンを探索する必要があった. 昨年度行った融解温度(Tm)測定の実験では,銅(II)イオンがG:Aミスマッチ塩基対を含む2本鎖DNAを安定化するが,その他の塩基対を含む2本鎖DNAは安定化しないという結果が得られた. 今年度は,このTm測定の結果として得られた銅(II)イオンによるG:Aミスマッチ塩基対の安定化が,銅(II)イオンとG:Aミスマッチ塩基対との特異的結合形成に基づくかを検討するため,G:Aミスマッチ塩基対を含む2本鎖DNAと銅(II)イオンとの結合反応における結合定数を等温滴定型熱量計(ITC)により決定した.さらに,Watson-Crick塩基対のみを含む2本鎖DNAと銅(II)イオンとの結合反応における結合定数をITCにより決定し,ここで得られた結合定数の値と,既に求めてあるG:Aミスマッチ塩基対を含む2本鎖DNAと銅(II)イオンとの結合の結合定数の値を比較することで,Watson-Crick塩基対のみを含む2本鎖DNAと銅(II)イオンとの間では特異的結合が形成されていないかどうかを検証する予定である. また,昨年度は,T:Tミスマッチ塩基対と水銀(II)イオンまたはC:Cミスマッチ塩基対と銀(I)イオンとの結合形成の電気化学的検出を試みたが,予想通りの電気化学的検出を達成できなかった.そこで今年度は,2本鎖DNA中に電子をドープするアプローチを検討して,アントラキノンを2本鎖DNAの末端に標識するのではなく,2本鎖DNAにアントラキノンをインターカレートさせることで2本鎖DNA中に電子をドープする方法を行った.
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