2008 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症モデル動物におけるセロトニン神経を介した行動および脳機能解明
| Project/Area Number |
08J07944
|
|---|
| Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
|---|
Principal Investigator |
友永 省三 Osaka Bioscience Institute, 神経科学部門, 特別研究員(PD) (00552324)
|
|---|
| Keywords | 発達障害 / マウス / 嗅覚 / セロトニン / ドーパミン / GABA |
|---|
| Research Abstract |
自閉症は、社会的関係を形成する能力が大きく阻害される発達障害の一種である。ヒト染色体15q11-13領域の重複は、自閉症の細胞遺伝学的にわかっている異常としては最も多いものとして報告されている。受け入れ先の研究グループでは、この領域に相当するマウス7cを重複させたマウスの作製に成功した。本マウスの研究において、父親由来対立遺伝子重複マウスでは、社会行動障害などヒト自閉症様行動が認められた。しかしながら、その作用機構は不明な点が多く残されている。そこで、その解明のために、(1)マウスの社会行動と密接な関係がある嗅覚への影響および(2)成体の脳機能に強い影響を及ぼし得る生後発達段階における脳内神経伝達物質への影響、以上二点を調査した。(1)においては、olfactory habituation/dishabituation testにより、嗅覚機能に異常がないことを明らかにした。従って、本マウスで認められている社会行動異常は、単なる嗅覚機能の低下によるものではないことが判明した。(2)では、1、2、3週齢および成体における脳を部位別に採取し前処理後、HPLC-ECDでモノアミン及びアミノ酸含量を分析した。モノアミンでは、セロトニン・ドーパミン含量、それらの代謝産物含量及び代謝回転において影響が認められた。アミノ酸では、GABA含量において影響が認められた。これらの影響は、一部の脳部位で認められ、成体期よりも発達期において強く認められた。以上より、今回影響が強く認められた発達期、脳部位及び神経伝達物質に注目した更なる研究の必要性を示唆した。
|
