2009 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症モデル動物におけるセロトニン神経を介した行動および脳機能解明
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08J07944
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友永 省三 Kyushu University, バイオアーキテクチャーセンター, 特別研究員(PD) (00552324)
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Keywords | 脳機能発達障害 / L-セリン / D-セリン / 小頭症 / セロトニン / NMDA受容体 |
Research Abstract |
本年度は当研究室で作成している脳特異的Phgdh KOマウスの成体期および生後発達期における脳機能を、薬理学、神経化学および行動学的手法を用いて解析した。し同マウスは重度の神経発達障害を伴うヒトセリン合成不全疾患のモデルマウスに相当する。これまでの解析により、成熟脳ではL-セリン含量の著しい低下により小頭症を誘導し、NMDA型グルタミン酸受容体のコアゴニストであるD-セリンの脳内含量も激減していることが明らかになっている。 本マウス成体期において、NMDAの投与による脳内最初期遺伝子の誘導が、対照と比べて抑制された。したがって、本マウスにおけるNMDA受容体を介した脳内神経伝達不全が示唆された。 生後2週齢の本マウスにおいて、出生直後には認められなかった小頭症の傾向が認められた。また、オープンフィールド試験における自発運動の異常も認められた。更に、脳内主要領域のアミノ酸とモノアミン分析により、すでに2週齢でD,L-セリンが激減していること、さらに予想外なことに特定領域のセロトニン含量もインバランスに陥っているとの結果を得た。これらの発見は、NMDA型受容体を介すグルタミシ酸伝達系とセロトニン伝達系との相互作用が、脳内で合成されるセリンによって維持されるとの新規制御機構を示唆すものである。以上より、本マウスは、生後発達期において既に脳機能異常を引き起こしており、その更なる機能解析から、ヒトセリン合成不全疾患の作用機構解明および生後発達期の栄養学への貢献につながる可能性が示唆された。
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Research Products
(11 results)