2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムシンテニー情報をもちいた新規非翻訳性RNAの予測と発現プロファイル解析
Project/Area Number |
08J08231
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
沼田 興治 The Institute of Physical and Chemical Research, 動物変異動態解析技術開発チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゲノム / トランスクリプトーム / ゲノムシンテニー / 非翻訳型RNA / センスーアンチセンス転写産物 / 内在性アンチセンスRNA / マイクロアレイ / 神経細胞分化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ゲノムシンテニー情報をもちいて新規の非翻訳型RNAを予測し,機能解析をおこなうにふさわしい候補を絞り込むための解析パイプラインを提示することである.非翻訳型RNAとはタンパク質をコードしないRNAのことで,近年のトランスクリプトーム解析によって非常に多くの非翻訳型RNAの存在が示唆された.非翻訳型RNAには,(1)mRNAと同様のプロセシングをうけるmRNA型,(2)特定の遺伝子座の逆鎖から転写されるアンチセンス型が存在する.今年度はアンチセンス型に着目し,その予測と発現プロファイル解析をおこなった.ヒト完全長cDNAをもちいて予測されたセンスーアンチセンス転写産物のペア(3,524ペア)のうち,1,554ペアはマウスゲノムシンテニー領域においてもSATペアとして同定されているが,それ以外はアンチセンス転写産物に対応するマウスcDNAが得られていない.本研究では後者の遺伝子群を対象に,そのアンチセンス転写の検出を可能にしたカスタムマイクロアレイを作成した.マウス12組織をもちいた発現解析によって,420遺伝子のアンチセンスに対応する発現シグナルを(少なくとも1組織において)検出した.本手法によって検出されたアンチセンス転写はその全体的な傾向として,ランダムプライミングによるターゲットでのみシグナルが検出されることや,核分画のターゲットに濃縮されることから,既知のアンチセンス転写と同じ傾向を有していることが示された.2遺伝子についてノーザンプロット解析,in situ hybridizationをおこなった結果,センス,アンチセンスの発現ともにマイクロアレイと同様の結果が得られ,細胞内における発現が確認された.次年度は,本手法を神経細胞分化,精子形成過程などのサンプルに適用していき,特定の現象において変動するアンチセンス転写の同定とその解析をおこなう.
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