2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子モンテカルロ法を用いたボーズ粒子系のシミュレーション
Project/Area Number |
08J08850
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 康之 The University of Tokyo, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ボーズアインシュタイン凝縮 / 量子モンテカルロ法 / 光学格子系 / 量子臨界現象 / 超流動 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した通り,今年度新しいアルゴリズムによる量子モンテカルロ法を実装し公表した.また,この方法を用いて光学格子中のポーズ粒子の実験と比較可能な規模のシミュレーションが可能であることを実証した.実験系の最も先駆的な光学格子系の結果は,モット絶縁体-超流動転移を観測したというものである.具体的には,粒子間相互作用を調節することによってタイムオブフライト法を用いて得られるポーズ粒子の干渉パターンに急峻なピークを観測したのである.本研究では,この様な急峻なピークが超流動転移温度よりも上の温度で観測されることを示し,必ずしも急峻なピークが超流動状態を示唆しないことを示した.このことは実験において非常に重要な意味を持ち,超流動状態の精密な議論を行う際に急峻なピーク以外の物理量を測定する必要があることを示したものである.また実験系では一つの大きな調和ポテンシャルによって光学格子系全体をトラップしているが,この格子ポテンシャルに比べて緩やかに変化するポテンシャルの存在により系は非一様系になっている.そのため低温においてモット絶縁体的領域と球殻状の超流動的領域が存在する系が実現可能である.本研究では開発した方法を用いて,球殼状の超流動的領域がモット絶縁体的領域によって隔たれている場合でもボゾンの輸送を介して超流動的領域間の位相がそろうことを観測した.もう一つの課題である希薄ボーズ気体のボーズアインシュタイン凝縮相への転移に関するシミュレーションも遂行し,可能な範囲で解析を行ったが,現在のところ平均場近似が示唆する一次転移の兆候は観測されていない.
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