2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 崇史 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 造血幹細胞 / 骨髄増殖性腫瘍(MPNs) / 原発性骨髄線維症(PMF) / STAT5a / Abi-1 |
Research Abstract |
本研究ではAbi-1というシグナル伝達分子に着目し、Abi-1を介したシグナル伝達機構を解明することから、造血幹細胞の自己複製制御機構の解明に挑んでいる。その詳細は、モデル幹細胞としてES細胞を用いたプロテオミクス解析とyeast two-hybrid screeningによるAbi-1相互作用因子の探索から成る。本年度は、Flag-Abi-1を過剰発現するES細胞株の樹立に成功しており、蛋白質複合体精製系の最適条件化を行っている。また、yeast two-hybrid screeningについては、造血幹細胞cDNAライブラリー構築を完了し、スクリーニングへ移行中である。本アプローチに加え、昨年度より新しいストラテジーとして、近年Abi-1が結合するシグナル下流因子として報告されたSTAT5aに着目し、造血幹細胞におけるSTAT5aの機能評価を行っている。 純化した造血幹細胞に活性型STAT5aを遺伝子導入した結果、in vitroにおける自己複製能の亢進が確認できた。そこで、in vivoでの機能評価の為STAT5a活性型造血幹細胞をレシピエントマウスに骨髄破壊的造血幹細胞移植したところ、移植後4~8週という短期間で致死性の原発性骨髄線維症(PMF)(骨髄増殖性腫瘍(MPN)に属する一病型)を発症することが明らかになった。本PMFマウスの病理像は、ヒトPMF症例に極めて酷似していることからモデル動物としての高い有用性が示さた。更に、本モデルの解析から希少疾患であるが故、病態や治療法に関して不明な点が多い疾患であったPMFに対し、その病態解明及び発病機序を明らかにする事に成功した。本業績は、世界的にも新しく価値の高い仕事内容であると考えられており、今後本モデルマウスの論文投稿と共に、造血幹細胞におけるSTAT5a分子機能と、上流因子であるAbi-1の分子機能を解明して行く予定である。
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Research Products
(7 results)