2008 Fiscal Year Annual Research Report
能動機能要素のネットワークの創製とその非線形ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
08J09234
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岡野 太治 Fukuoka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Belousov-Zhabotinsky reaction / 非平衡 / 集団ダイナミクス |
Research Abstract |
ベルーゾフ・ジャボチンスキー(BZ)反応を微小要素に局在させ、それを格子状に配置して能動機能要素のネットワークを創製した。要素の高い光感受性を利用した遅延フィードバックによって、斯かるネットワークの集団ダイナミクスの制御を試みた。 自励振動要素からなるネットワークの場合、フィードバックの遅れ時間に依存して、時間的・空間的な秩序度が周期的に変化することを見出した。これは、遅れ時間の増減によって、系の秩序化の度合いを自在に制御できることを示している。更に、秩序化を促進するのに最適な遅れ時間と、BZ反応の振動周期や不応期の時間など反応の固有な性質との間には、ある関係が成り立つことが分かった。例えば、遅れ時間が反応の不応時間と等しいとき、あるフィードバック利得以上で大域的な位相同期が起きることが明らかになった。 更に、興奮性要素からなるネットワークでは、ノイズにフィードバックを重畳することによる効果を調べた。ノイズのみを印加した場合には要素の集団化によって発火のコヒーレンズが促進される現象array-enhanced coherence resonance(AECR)が起きることが知られているが、ノイズ強度を一定に保ったままフィードバック利得を大きくすると、AECR現象や位相同期現象がより顕著になることが分かった。逆に、フィードバック利得を一定に保ったままノイズ強度を変化させると、あるノイズ強度以上で位相同期が観測されなくなった。更に、振動系だけでなく興奮系でも、フィードバックの遅れ時間の変化によって系の秩序度の制御が可能であることが明らかになった。
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