2008 Fiscal Year Annual Research Report
FET構造を用いた有機EL素子の発光・劣化過程の分離および新規な素子動作の探求
Project/Area Number |
08J09379
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大嶋 優記 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機エレクトロルミネッセンス / 交流電界 / 有機電界効果トランジスタ |
Research Abstract |
有機エレクトロルミネッセンス(EL)現象は、その歴史的な背景から2種類に大別され、絶縁破壊検出用ツールとしての交流電界励起ELと、デバイス応用のための直流電界励起ELが存在する。本研究では、これら2種類の有機EL現象を分離評価することで、有機ELに関する新規な評価技術の確立を目指している。これを実現するため、テトラセンを活性層とした有機電界効果トランジスタ(OFET)を用い、EL発光の観測を行なってきた。特に交流電界下での有機EL現象に着目し、発光強度を時間的に観測すると、材料内に蓄積された正孔が形成する空間電荷電界の効果で、電子が自発的に材料内に引き込まれるといった現象が発見された。また、この空間電荷電界の存在をより明らかなものにするため、電界誘起光第二次高調波発生(EFI-SHG)を用いた評価も行なった。現在、SHGスペクトルの評価によって、EFI-SHGの評価可能性が示され、空間電荷電界が測定可能な段階に至っている。また、EFI-SHGを用いることで、材料内でのキャリア移動の様子をとらえられることが、本研究室によって示されているため、これを用いて有機EL現象を引き起こすキャリアの挙動を観測することも可能となった。次いで、交流電界を用いたことで、電極界面近傍での発光が容易に観測され、界面近傍に多数存在するトラップ準位に起因した、新たな発光スペクトルピークが観測された。これに関しては、Alq_3とテトラセンの二層誘電体構造を用いた有機ELデバイスを直流電界下で駆動し、金属界面から離れた領域でEL発光を観測することで、発光ピークの起源が金属界面であることを確認した。このようにして、交流電界下での有機EL現象を利用し、有機材料に対するキャリア注入の様子や、材料内でのエネルギ構造などを評価した。
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