2008 Fiscal Year Annual Research Report
天然セルロースのTEMP0触媒酸化で得られる新規ナノファイバーの構造解析と複合化
Project/Area Number |
08J09514
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 継之 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教
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Keywords | セルロース / ナノファイバー / 炭酸カルシウム / コンポジット |
Research Abstract |
材料特性の制御が容易な石油系プラスチックやガラスは、汎用性の高い材料として幅広い分野で利用されている。しかしながら、これらの材料は高い操作温度や複雑な工程・設備を必要としており、近年浮き彫りになってきた化石資源の枯渇や地球温暖化等の問題に対応するために、資源及びエネルギーの両側面からそれらに代替しうる環境適合型の材料の開発が求められていた。セルロースと炭酸カルシウムは、二酸化炭素を固定化して自然界に多量に蓄積している。これらの資源を用いて新材料を創出することは、循環型社会の構築に向けた重要なアプローチといえる。 近年、炭酸カルシウムのバイオミネラリゼーションにおいて重要な役割を担っているアモルファス炭酸カルシウム(ACC)の材料化に注目が集まっている。ポリアクリル酸で安定化されたアモルファス炭酸カルシウムは、水系・常温・常圧という省エネルギーかつ低環境負荷のプロセスで調製可能な新しい素材である。 本研究では、このACCと結晶性ナノファイバーを構成単位とするゲル状のセルロース膜を複合化することで、透明かつ自立性のフィルム状複合体の作製に成功した。この複合体は、甲殻類の外骨格と同様の有機・無機の組成比で構成されており、セルロース単独では発現できない硬度を有し、甲殻類の外骨格よりも強靭な引張強度を示した。つまり、セルロースと炭酸カルシウムという豊富な天然資源を用いて、水系・常温・常圧下の簡便なプロセスにより、しなやかで強靭な透明材料の作製に成功した。産業的には、石油系プラスチックやガラス等の安価で汎用性の高い基盤部材に代替しうる新素材といえる。
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[Presentation] Individualization of nano-sized plant cellulose fibrils achieved by TEMPO-mediated oxidation under neutral conditions2009
Author(s)
Saito, T., Hirota, M., Tamura, N., Fukuzumi, H., Isogai, A.
Organizer
American Chemical Society
Place of Presentation
Salt Lake City, Utah, USA
Year and Date
20090300
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