2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09602
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
下北 英輔 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 管形成 / 神経管 / 上皮極性 / 神経分化 |
Research Abstract |
我々の体の中にある多くの器官、たとえば肺、心臓、腸などにおいて、上皮細胞によって構成される管構造は、生理機能の発揮に中心的な役割を担う。生体3次元環境における上皮管形成のしくみを知ることは極めて重要であるにもかかわらず、モデル系の欠如からその解析は立ち遅れている。管形成プロセスは、すでに存在している管が分岐して新たな管構造ができる過程と、不定形の間充織細胞が上皮極性を獲得して作られる過程(間充織-上皮転換)の2種類に大別される。私は、主に間充織-上皮転換を介する管形成について、体の後方領域(尾側)でみられるSecondary Neurulation及び、本研究において見出されたPax2による神経管様管構造の形成メカニズムについて研究を進めた。 Pax2によって神経管様管構造が形成されるという現象は、Tbx6のノックアウトマウスの表現系と類似していたことから、Tbx6のニワトリホモログであるTbx61に注目し、実験を行った。その結果、Pax2を発現させると本来発現されるはずであるTbx61の発現が抑制されることがわかった。また、Pax2に加え、Tbx61を共発現させると神経管様管形成が抑制された。これらのことから、Pax2の下流においてTbx61の発現が抑制されるということが神経管様管形成に必須であるということが明らかとなった。また、本来発現しているTbx61の働きを阻害することのみによって管形成が起こることを示した。 現在、間充織-上皮転換を介する管形成メカニズムをより詳細に解析するために、ヒト骨肉腫細胞Saos-2(間充織-上皮転換を引き起こすことが報告されている)をin vivro3次元環境下で培養し、新たな管形成のモデルとして確立することを試みている。 今後はこれら新規モデル系を用いた実験から得られる結果を統合し、生体3次元環境での間充織-上皮転換を介する管形成のメカニズムに迫りたいと考えている。
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