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2011 Fiscal Year Annual Research Report

「性病」と帝国―ロシアから日本への「検黴」制度の伝播とその後―

Research Project

Project/Area Number 08J09621
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

宮崎 千穂  名古屋大学, 国際言語文化研究科, 特別研究員(RPD)

Keywords医学史 / 梅毒 / 日露交流 / 医務警察 / 医務警察 / 帝国医療 / 軍人教育
Research Abstract

平成20年度より平成23年8月まで(途中、出産・育児による中断あり)の約3年間に亘る本研究では、医療・衛生の観点より「帝国」を捉えなおすことを目的とし、特に、ロシアから日本へと伝播された「検黴」(梅毒検査)を手がかりに、「性病」のあり方を考察してきた。最終年度である本年度(平成23年4月~8月)は、幕末の長崎で日本初の検黴を実施したロシア艦隊がその後、1890年代にいかなる「梅毒との闘い」を繰り広げたのか、ロシアにおいて収集した史料を分析することで明らかにし、その内容を論文としてまとめた。
日本最初の検黴以後も、ロシア艦隊は継続して<長崎の梅毒>を憂慮しており、特に、<秘密売春(私娼)>目を向け、その取締りを長崎当局に要請していた。一方で、注目すべきことは、同時に、<売り手>である長崎の女性のみならず、<買い手>であるロシア水兵に対する管理も本格化していたことである。1890年代、ロシアでは梅毒蔓延対策をめぐり梅毒学者や医師などが参加する全国規模の大会が開催され、子孫の絶滅危機という梅毒を<国民病>とする語りによって農村での梅毒蔓延の危険性が訴えられた。その時、下級軍人(兵士)には<帝国全土への梅毒の散布者>というラベルが貼られ、罹患者の洗い出しのため、病に対する差恥心を捨てて病を自白し医師の治療を受ける必要性が教育されるとともに軍務生活中の自律が強く求められたのである。その際、下級軍人には、梅毒は都市の売春婦との性的関係により感染するものの、帰郷後の農村では性的関係以外の経路で家庭、子孫に感染させると教えられた。かような軍医による医学的語りは、<都市の性病>、<農村の生活習慣病>としての梅毒像を結んだのである。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 性を規定する病-一八九〇年代のロシア海軍における長崎の検黴問題と梅毒予防教育-2012

    • Author(s)
      宮崎千穂
    • Journal Title

      日本文化研究(韓国・東アジア日本学会)

      Volume: 第43輯(印刷中)

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] ロシア艦隊医が描いた幕末長崎の医学的風景-<亡国病>としての梅毒と<病める日本>-2011

    • Author(s)
      宮崎千穂
    • Journal Title

      歴史学研究

      Volume: 第882号 Pages: 26-37

  • [Presentation] 感染症予防医療の淵源-ロシア海軍およびGHQにおける「性病との闘い」-2011

    • Author(s)
      宮崎千穂
    • Organizer
      日本ロシア文学会中部支部研究発表会
    • Place of Presentation
      愛知淑徳大学
    • Year and Date
      2011-07-23

URL: 

Published: 2013-06-26  

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