2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J09794
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北中 佑樹 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強誘電体材料 / 圧電材料 / 単結晶 / 格子欠陥 / ドメイン構造 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
1.第一原理計算を用いた、格子欠陥と90°ドメイン構造間の相互作用の評価 当初はPbTiO_3強誘電体単結晶における欠陥制御を試みたが、欠陥生成機構がBi系強誘電体と大きく異なること、および結晶内部のクラック生成などを抑えられなかったことから、Pb系強誘電体における欠陥制御は断念せざるを得なかった。一方、PbTiO_3のペロブスカイト構造を基に行った第一原理計算では、90°ドメイン構造と格子欠陥の相互作用を評価することに成功した。酸素空孔およびAサイト空孔をを含んだスーパーセルを構築し、構造の全エネルギーを評価したところ、いずれの空孔も90°ドメイン境界に位置した構造が最安定であった。また、酸素空孔は90。ドメイン構造に対して、Aサイト空孔より2倍以上大きな安定化効果を示す結果が得られた。酸素空孔がドメイン構造を安定化して強誘電特性を劣化させることは広く認識されているが、その機構を第一原理計算により実証した成果といえる。 2.元素置換および空孔制御がBi_4Ti_3O_<12>(BiT)強誘電体結晶の分極反転挙動に及ぼす影響 昨年度に確立したBiT結晶におけるドメイン観察手法を用いて、欠陥制御を施したBiT結晶における分極反転挙動を調べた。Biサイトの一部をLaで置換したBiT結晶において、反転が阻害(クランプ)された90°ドメインの密度が、無置換BiT結晶に比べて劇的に低減していることが明らかとなった。La置換BiTがセラミックスや薄膜において優れた特性を示すことは報告されていたが、その機構が90°ドメインのクランプ緩和に由来することを、ドメイン構造の観察により実証した。また、高圧酸素下でのBiT単結晶育成にも成功しており、得られた高品質結晶における欠陥制御指針確立が今後の課題である。
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Research Products
(7 results)