2009 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀アメリカ合衆国におけるピッチクラス・セット理論をめぐる音楽理論史研究
Project/Area Number |
08J10287
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
日比 美和子 Tokyo National University of Fine Arts and Music, 音楽学部, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 音楽理論 / 音楽分析 / アメリカ合衆国 / ピッチクラス・セット理論 / 無調音楽 / アレン・フォート |
Research Abstract |
今年度の研究結果は次の3点に集約できる。1)「相似性概念」を持つ理論の比較研究。20年度に行った「相似性概念」に関わる比較研究を,ピッチクラス・セット理論のみならずトランスフォーメーション・セオリーにまで拡大し,「相似性」という概念をめぐる理論家たちの論争が両理論の多様性を生み出したということを指摘した。研究成果は美学会全国大会及び先端芸術音楽創作学会研究会において報告した。また『メディア・記号・芸術』,先端芸術音楽創作学会会誌にて報告した。2)ピッチクラス・セット理論が生まれた背景についての研究。ピッチクラス・セット理論と関わりの深い音楽研究者であるA.フォート,J.デュビエル,J.ストラウス各氏に行ったインタビューをまとめた。3)北米の音楽理論系の学術誌3誌Journal of Music Theory(1961-),Music Theory Spectrum(1979-),Perspectives of New Music(1962-)及び音楽学系の学術誌Journal of the American Musicological Societyに掲載されているすべての論文を対象として分析を行い,各雑誌の傾向と特徴を明らかにした。特にSociety for Music Theory(SMT)が設立されその学術誌Music Theory Spectrumが刊行された時期(1978-79)に,American Musicological Society(AMS)の学術誌Journal of American Musicological Societyの編者及び寄稿者がどのような態度をとったかという点に注目し,AMSの学術誌には特定の音楽理論研究の締め出しを意図したEditorialが存在していたことを確認した。本研究結果はInter-Asia Cultural Typhoon 2009で報告した。
|
Research Products
(6 results)