2009 Fiscal Year Annual Research Report
Meissner小体に着目した触知覚伝達成分の解明と触覚提示装置への応用
Project/Area Number |
08J10531
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒木 忍 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触覚 / 神経生理学 / 運動検出 / 時間判断 / 電気刺激 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に続き,触覚受容器Meissner小体に繋がるRA神経線維に着目し,主に時間知覚と時空間知覚の2つに関して研究を進めた。触覚における短い時間の知覚は感覚運動系と密接に結び付いており,その理解・解明の望まれる分野である。 【RA繊維における時間知覚】 2つの触覚イベントからなる4つの判断,同時性判断・順序判断・運動感判断・時間間隔判断の4つについて実験的に調べを進め,比較的初歩的なものからやや応用的な判断まで,全てに通じて触覚の時間判断は"刺激を加えた部位に依存して変動し"また"刺激部位の姿勢変化による遠近には依存しない"という傾向を確認した。視覚における刺激の空間位置による影響は比較的よく知られており,この空間"非"依存性は触覚というモーダルの特殊性を物語っていると考えられる。 【RA繊維における時空間知覚】 今回,時空間知覚の中でも特に運動知覚に焦点を絞って研究を進めた。これはRA神経線維の活動を生じさせやすい振動の時間周波数帯から,ヒトが自ら手を動かし,運動を伴って対象を知覚するActive TouchにおいてRA系の活動が肝要と予想されることに基づいている。 運動検出メカニズムを調べ進める上で、運動残効の手法を導入した。この残効を用いた手法は他モーダルの知覚心理において高い成果を上げている一方、触覚に導入された例は少なく、今後の発展が期待される分野である。結果として大変興味深いことに、運動方向の検出は運動そのものの検出と異なり、刺激を受ける際の姿勢に依存することが示された。扱うべき問題が時間から時空間へ拡張され、タスクに"刺激を空間上にマツプする"というプロセスが含まれるようになった結果、姿勢変更によるセンサの空間上位置の変化が判断に影響を持つようになったと考えられる。つまり運動そのものの提示と方向の提示では異なる戦略が考えられ、後者においてはデバイスの把持姿勢をも考慮する必要性があることになる。
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Research Products
(8 results)