2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける国際美術展の開催形式とその変遷:グローバル/ローカル化の影響
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08J10692
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
小泉 元宏 Tokyo National University of Fine Arts and Music, 大学院・音楽研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 地域社会 / 芸術社会学 / アートプロジェクト / 国際展 / ビエンナーレ / トリエンナーレ / リレーショナル・アート / 創造都市 |
Research Abstract |
本研究の主眼は、芸術文化と地域社会との関わりにおいて、どのような実践的アプローチが現在試みられているのか、それによっていかなる地域社会・芸術の変容が起こっているのかを、特に国際美術展・アートプロジェクトに焦点を当てながら明らかにすることにある。初年度にあたる本年度は、特に芸術と地域社会との関係性について論じた先行研究・文献の調査を行い、検討を加えてきた。またインタビューや活動記録の調査を含む、フィールドワークを中心とした方法論によって、実践的活動の現状を調査してきた。具体的には、90年代から隆盛している人々の間の関係性を重視した取り組みに関する美学的観点からの文献調査(「リレーショナル・アート」や「ソーシャル・エングージド・アート」など)を、60年代以降行われてきた芸術の公共性に関する議論とともに参照し、また「クリェイティヴ・シティ」構想や「クリエイティヴ・インダストリ」など都市社会学・文化経済学の視点による先行研究についても調査を行ってきた。さらには、欧米での現状と東アジアの現状との比較を念頭に置きながら、5月にベルリンおよびウィーンで「ベルリン・ビエンナーレ」等を調査、アーティストグループ「ヴォッヘンクラウズール」やキュレーターらにインタビュー実施し、また6月より徳島県佐那河内村・上勝町地域で行われる予定の「国際芸術祭」に企画者の一人として参加して、議論・発表等を行うなどの実践的活動も行ってきた。その他、ソウル、瀬戸内など国内外の芸術祭、文化関連施設を視察・調査するとともに、研究会活動、研究発表なども多数行ってきた。以上の研究成果は、次年度行う予定の理論的枠組みのさらなる進展の基礎であるとともに、現状の地域社会と芸術文化との関係性を明らかにするための重要な実践であると考えられるものである。
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Research Products
(8 results)