2008 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の発生源、吸収源インバージョン解析に関する研究
Project/Area Number |
08J10784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹羽 洋介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 二酸化炭素 / 大気輸送モデル / インバージョン解析 |
Research Abstract |
二酸化炭素の吸収源/発生源のインバージョン解析で用いる大気輸送モデルの開発を行った。本研究では輸送モデルのベースとしたNICAM(Nonhydrostatic ICosahedral Atmospheric Model)の移流スキームをトレーサ輸送に適したものに改良した。改良後のモデルを用いてラドシ、六フッ化硫黄をトレーサとして輸送実験を行い、輸送モデルの輸送過程再現性の評価を行った。その結果、従来の大気輸送モデルよりも良好であることがわかった(Niwa et al.,submitted to Mon.Wea.Rev.)。これにより、インバージョン解析の輸送モデルによる不確定性を小さく抑えられることが期待される。さらに、改良した輸送モデルと従来の低解像度手法を用いて二酸化炭素の吸収源/発生源インバージョン解析を行った。得られた地域別の二酸化炭素の地表面収支は先行研究とほぼ同等の値を示し、このことにより、用いた輸送モデルの信頼性が高まった。地表面の観測データを主に取り込んで得られた二酸化炭素フラックスデータをもとに二酸化炭素輸送再現実験を1993年から2005年の期間に対して行い、得られた二酸化炭素濃度を東京-シドニー間の旅客機による上空の観測データと比較した。得られたモデル値は、二酸化炭素の季節変動の振幅、位相をよく再現しており、さらに、増加速度の年々変動も非常によく再現した。さらにフラックスの変動を固定した実験結果と比較することで、上空における二酸化炭素の濃度変動は、輸送過程よりも地表面フラックスの変動が大きく寄与していることがわかった。このことから、k今後新たに飛行機観測で得られる対流圏上部の観測データを用いることで、インバージョン解析における地表面フラックスの不確定性を軽減できることが期待される。
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