2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒的不斉Diels-Alder型反応の開発および複雑縮環天然物の全合成
Project/Area Number |
08J10868
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 洋平 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触媒的不斉Diels-Alder反応 / 触媒的不斉全合成 / Claisen転位 / 分子内アルドール反応 / Pummerer転位 |
Research Abstract |
ビシクロ[3.3.1]骨格を母核とするhyperforinの触媒的不斉全合成を目指して研究を行った。Hyperforinは比較的小さな分子の中に3つの不斉4級炭素を含む4つの不斉中心が存在する、合成化学上非常に興味深い化合物であり抗マラリア活性や抗鬱作用を示すなど様々な生物活性をもつ天然物である。40年以上前に単離された化合物でありながら、その全合成は達成されていなかった。複雑縮環化合物の全合成を目指す上で本化合物をターゲットに設定し、合成研究を行った。独自に見出した触媒的不斉Diels-Alder反応、Claisen転位-分子内アルドール反応によってビシクロ骨格を構築し、さらに側鎖の導入を行った。前年度にモデル化合物を利用した検討によって見出したvinylogous-Pummerer転位による酸素官能基の導入は、実際の系においても有効であった。本反応において、1,2付加と1,4付加の選択性や反応性がモデル基質を用いた場合と比較して低下したが、用いる塩基を詳しく検討した結果2,6-di-tert-pyridineを用いることで良好な選択性、反応性を実現することができた。また、hyperforinの持つ側鎖の導入に際して1,3ジケトンの高い酸性度に注目し、他の方法では困難であったO-アリル化体からC-アリル化体への分子内アリル基転位をπ-アリルパラジウム中間体を経由すると考えられる条件にて達成した。以上の反応を鍵とした、独自のアプローチによってhyperforinの触媒的不斉全合成を世界で初めて達成した。
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