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2009 Fiscal Year Annual Research Report

セラーズの認識論の研究と、その現代的意義の解明

Research Project

Project/Area Number 08J11399
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

石田 崇  The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)

Keywordsウィルフリッド・セラーズ / 非推論的知識 / 信頼性主義 / 所与の神話 / 意味の外在主義
Research Abstract

セラーズの知覚認識に関する議論、および、その考察から得られた認識論的な知見、また心の哲学への影響を元に研究を遂行した。
そこでは、非推論的な知識と彼が認めるものについて、それがどのような性質を持つのか、またそれを持つために当該の知識はどのような条件を満たしていなくてはならないかが主題的な研究対象となった。非推論的知識とは推論を介さずに得られるような知識のことをいうが、これはセラーズの意味についての機能主義理論の枠組の中で十分理解可能である。知覚における非推論性の問題は、経験的知識の基礎付けの問題である。それは、感覚与件を代表とする所与の神話へのコミットメントをせずにどのように知覚的認識の非推論性の権威を説得力のある仕方で説明することができるかという問題であり、私はそこで、信頼性主義へのコミットメントによってそれを理解することが可能であるというセラーズの説を部分的に修正し、信頼性を他者からの承認という観点から捉え直すことを提唱した。セラーズの信頼性は、自分自身の知覚システムに対する信頼性でしかなく、それは決して確実なものではないからである。他者からの承認という観点から信頼性を理解する事は意味の外在主義とも非常に相性がよいものであり、セラーズの哲学と現代の心の哲学における意味に関する標準的見解を結ぶひとつの鍵となる。もうひとつの非推論的知識の代表例は内観的知識である。内観的知識の問題点は、セラーズの批判的対象であるデカルトに代表されるような「内的談話」へのコミットを含まずにどのようにその非推論性が理解可能であるかという点である。セラーズはわれわれの言語活動をモデルとして思考を理解する際に内観の問題について言及したが、これを積極的に取り扱わなかった。私は内観に関する表象理論が思考=言語活動の内在化というセラーズの主張とよく親和するということを突き止めた。意味についての機能主義理論の枠組を維持したままで内観に関する説明を与えることができるということがわかったのである。

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Published: 2011-06-16   Modified: 2016-04-21  

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