2009 Fiscal Year Annual Research Report
新奇糖脂質加水分解酵素EGALCの構造、機能および応用に関する研究
Project/Area Number |
08J11609
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石橋 洋平 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 病原性真菌 / グルコシルセラミド / グルコシルセラミド分解酵素 / 糖脂質 / 糖脂質分解酵素 |
Research Abstract |
ガラ系列を持つ接合菌クモノスカビのゲノムデータベース上に、エンド型の糖脂質分解酵素であるEGALCと相同性のある遺伝子(EGCrP)を発見した。大腸菌を用いて発現・精製したEGCrPを用いて、様々な糖脂質への加水分解作用を確認したところ、予想に反してグルコースがセラミドにβ結合したグルコシルセラミドを特異的に加水分解することが判明した。多くの真菌はグルコシルセラミドを持つことが知られており、増殖や出芽、環境適応能力、病原性への関与が示唆されている。真菌グルコシルセラミドは、ヒトを含む哺乳類とは異なる構造を持っているため真菌症の効果的な薬剤ターゲットとしても注目されている。その一方でグルコシルセラミドを分解する酵素であるグルコシルセラミダーゼは真菌では未だ同定されていない。EGCrPは本研究で初めて同定された真菌グルコシルセラミダーゼである。EGCrP遺伝子を欠損させた病原性真菌クリプトコッカス・ネオフォルマンスは、膜画分における加水分解活性が有意に減少していたことから、EGCrPは膜局在型の中性グルコシルセラミダーゼであることが明らかになった。変異株のグルコシルセラミドを定量した結果、野生株に比べ有意にグルコシルセラミドが蓄積していることが確認された。また、興味深いことに変異株では野生株では見られない分子種のグルコシルセラミドが検出された。これらの構造を解析した結果、真菌グルコシルセラミドの前駆物質と推測される構造を有していることが判明した。本研究により、新奇酵素EGCrPが関与する新しいグルコシルセラミド代謝経路の存在が強く示唆された。
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