2008 Fiscal Year Annual Research Report
コンバージョン(キリスト教)・廻心(仏教)・タウバ(イスラーム)の比較研究
Project/Area Number |
08J40140
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳田 幸雄 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 回心 / コンバージョン / 廻心 / タウバ |
Research Abstract |
当該年度においては、キリスト教の「コンバージョン」を除く二者について、つまり仏教の「廻心」概念の思想史的展開を辿ること、およびクルアーンにおける「タウバ」概念の詳細な検討に取り組んだので、それぞれについて研究成果を記述することとしたい。 1、「廻心」概念の思想史的展開 従来、「廻心」は、おもに浄土真宗教学において、もっぱら親鸞の問題として扱われてきた。それに対して、本研究は、空海から西田幾多郎をはじめとする京都学派に至るまで散見される「廻心」概念の史的展開を辿った。その結果、この語が、自力による自己否定と他力による自己否定との逆説的な重なりを示唆しており、なおかつそれぞれの宗教者や思想家において、宗教および人間の核心をつく概念として重視されていることが明らかとなった。この成果は、論考「廻心の系譜」(印刷中)にて発表予定である。 2、クルアーンにおける「タウバ」 一般に「悔悟」あるいは「改悛」と訳される、この「タウバ」という語およびその派生語は、クルアーンの87箇所で用いられている。それぞれの箇所を、その原語(アラビア語)から検討した結果、仏教における「廻心」が自力と他力との逆説的な重なりのうえに成立していたのと同様に、「タウバ」が人間の真摯な悔い改めと神の慈悲との逆説的な重なりに根ざしていることが明らかとなった。今後は、この点を、ハディースやクフスィール(クルアーン解釈)、さらにはイスラーム神秘主義思想において裏づけてゆきたい。
|
Research Products
(2 results)