2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形シュレディンガー方程式の対称性と定在波解の安定性について
Project/Area Number |
08J56371
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 昌也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 定在波解 / 軌道安定性 / 対称性崩壊 |
Research Abstract |
非線形シュレディンガー方程式の基底状態解の対称性と球対称基底状態解の不安定性について研究を行った. まず私のこれまでの研究により,十分大きな振動数をもつ基底状態解は一点に集中し,またその周りで指数減衰していることが示されていた.ゆえにポテンシャルが球対称性を持つ場合であっても基底状態解が原点に集中しない場合はこの性質により基底状態解が球対称でないことがわかっていた.そこで今回は逆にポテンシャルが球対称であり,基底状態解が原点に集中するのであれば球対称性が保たれるということを示した.この結果により振動数が十分大きい場合は基底状態解の対称性崩壊は基底状態解が原点に集中していないことのみにより起こるもので他に対称性を崩す要因はないということがわかった. 次に非線形シュレディンガー方程式の球対称基底状態解の不安定性について説明する.原点はポテンシャルの非退化な極小点であるとする.このとき,十分大きな振動数について球対称基底状態解は原点に集中していて,なおかつ不安定である.これを示すためにまず私は線形化作用素が正の固有値をもつことを示した.これにより,1次元の場合について不安定性を示すことができた.しかし,高次元の場合では非線形項が滑らかでないことやソボレフ空間が掛け算について閉じていないことなどの理由により不安定性を線形化不安定性から示すことが困難であった.そこで,私は球対称基底状態解のまわりで,エネルギー汎関数に対してのある不等式を示すことにより,線形化不安定性を経由することなく,不安定性を直接示すことに成功した.この方法は球対称基底状態解だけでなくモース指数が2である定在波についても適用でき,より幅広い応用があると見込まれる.
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