1999 Fiscal Year Annual Research Report
災害ボランティア組織の社会的基盤に関する日米比較研究
Project/Area Number |
09041020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (80260644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢守 克也 奈良大学, 社会学部, 助教授 (80231679)
杉万 俊夫 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10135642)
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Keywords | 災害 / ボランティア / ボランティア組織 / 社会的基盤 / 日米比較 / ノースリッジ地震 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は、日米の災害ボランティア組織の活動、および、彼らの活動を支える社会的基盤について、現場研究を行い、理論的な検討を加えた上で、今後の防災システムにおける災害ボランティアの位置づけを実践的に検討するものである。 平成11年度は、本研究の最終年度として、日本とアメリカの災害ボランティア組織に対する参与観察を継続すると共に、これまでの調査において収集したドキュメントや作成したエスノグラフィー、ライフヒストリーを検討し、それらから、災害ボランティアに関する理論的、実践的な考察を行った。 アメリカにおいては、ノースリッジ地震を契機としてカリフォルニア州ロサンゼルスに設立された、Emergency Network of Los Angeles(ENLA)のエスノグラフィー、および、主要構成メンバーのライフヒストリーをまとめあげ、学会などで発表すると共に、学術論文として投稿準備中である。また、国内においては、阪神大震災を契機に兵庫県西宮市に設立された日本災害救援ボランティアネットワークについて、参与観察を継続しながら、詳細なエスノグラフィーをまとめた。日本災害救援ボランティアネットワークは、阪神大震災から5年が経過した平成12年1月に、全国災害救援ネットワークを結成した。全国災害救援ネットワークとは、日本全国のボランティア組織が災害を視野に入れて連携をしたものであり、その設立においては、本研究のアメリカの事例研究が大きな役割を果たした。 これまで3年にわたる日米の災害ボランティアに対する調査研究から、グループ・ダイナミックスの視点において災害ボランティアを考察し、その理論的枠組みをいくつかの学術論文として発表した。
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[Publications] 渥美 公秀: "グループ・ダイナミックスとボランティア研究"大阪大学人間科学部紀要. 25. 261-275 (1999)
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[Publications] 渥美 公秀: "ボランティア研究の射程-グループ・ダイナミックスの立場から"ボランティア学研究. (印刷中).
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[Publications] 渥美 公秀: "災害ボランティアと行政の連携-緊急時と平常時-"判例地方自治. 186. 110-113 (1999)
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[Publications] 渥美 公秀: "われわれは何を学んだか「災害ボランティア」"土木学会誌. 85. 39-41 (2000)
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[Publications] 渡邊 としえ: "阪神大震災の被災地における「まちづくり」に関するフィールドワーク-西宮市安井地域の事例-"実験社会心理学研究. (印刷中).
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[Publications] 渥美 公秀: "コミュニティの再生"ミネルヴァ書房(印刷中).
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[Publications] 渥美 公秀: "阪神大震災研究4.大震災5年の歳月"神戸新聞総合出版センター. 427 (1999)