1997 Fiscal Year Annual Research Report
フランスの大都市圏における移民の社会的統合政策の調査研究
Project/Area Number |
09041058
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
梶田 孝道 一橋大学, 社会学部, 教授 (10133357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 奈々子 パリ第7大学, 大学院, 博士課程
中野 裕二 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (10253387)
|
Keywords | 統合 / 移民 / 外国人 / 同化 / 第二世代 / 不法滞在 / アンセルシオン / HLM |
Research Abstract |
(1)大都市圏における移民の現状把握と、その社会的統合政策の試みの把握。大都市圏の郊外で第二世代を中心にして失業等の社会問題が累積し、しばしば『暴動』にまで発展している。そうした状況の中で、第二世代の中から新たな革新の試みもなされており、そうした試みを探ろうと試みた。まずパリ、リヨン等の郊外のHLM地区を視察し、関係者にインタビューを行ない、問題点の把握に努めた。続いてマグレブ系の地区にあるモスク等のイスラム関連施設を訪れ調査を行なった。さらに、こうした問題を研究対象としているフランスの識者たちへのインタビューを行ない、問題の構造の把握に努めた。 (2)国籍法、移民規制法の改正にともなう移民の政治参加の形態とその問題点の把握。改正国籍法(1993年)以降の国籍取得状況に関する全国的統計調査は未だ行なわれていないため、人権団体等のメンバーへのインタビューを通して、その把握に努めた。また、一部地方都市で行われた調査などの資料収集を行った。。その他、移民関連法制の社会的政植下における改正案に関する資料の収集を行なった。さらには、近年フランスでのキーワードになりつつある「フランス型多文化主義」に関する識者の意見収集等も行なった。 (3)不法滞在者に対する支援と排除の両面から見た、フランス社会の統合能力の状況と問題点の把握。移民支援団体(DAL・住居への権利)の長期取材を中心とし、その他の移民関連団体へのインタビューを通して、不法滞在者支援の状況の把握を行なった。
|
-
[Publications] 梶田 孝道: "ナショナル・マルチナショナル・トランスナショナル-欧米・日本における外国人労働者をめぐる三つの文脈-" 青井和夫ほか編『現代市民社会とアイデンティティ』梓出版社. 214-232 (1998)
-
[Publications] 中野 裕二: "統合原理を模索するフランス" 宮島喬編『現代ヨーロッパ社会論』人文書院. 97-116 (1998)
-
[Publications] 稲葉 奈々子: "九〇年代フランスにおける「もうひとつの移民問題」" 宮島喬編『現代ヨーロッパ社会論』人文書院. 283-305 (1998)