1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ・グリーンツーリズムの発展構造の経済学的分析
Project/Area Number |
09041063
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩井 吉彌 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40093190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HANS Essman フライブルグ大学, 教授
宮崎 猛 京都府立大学, 農学部, 教授 (50115945)
高柳 敦 京都大学, 大学院・農学研究科, 講師 (70216795)
PETER Gluck ウイーン農科大学, 教授
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Keywords | ヨーロッパ / グリーンツーリズム / 農家民宿 / 中・下流階級 / 長期滞在 / 集客努力 / 自給部分 / 有機農産物 |
Research Abstract |
本研究は、ドイツおよびオーストリアの農家民宿の経営実態と、ツーリストの利用実態について詳細な調査を行ってデータを分析したものである。 今までの分析と討論の中から明らかになったのは次の点である。 (1)ヨーロッパの上流階級では1920年代以降、ニースやカンヌでの長期滞在が一般化した。それが中・下流階級にも及ぶのが第2次世界大戦後であり、それが農山村地域でのグリーンツーリズムにつながった。 (2)農家民宿に長期滞在する中・下流階級とはいっても、経済的な地位は高くはないが、文化的には比較的高い地位にある人々が中心である。 (3)その人達は、環境問題や農業問題に関心をもち、経済的に一番安い行動をとる。例えばハイキングなどを好む性向をもち、有機農産物にも関心をもっている。 (4)ヨーロッパのグリーンツーリズムは、今では完全に農家の副業として農村業経営の中に組み込まれ、農林業や中山間地域を支える重要な経済的柱になっている。 (5)ヨーロッパの農家民宿は、日本に比べてはるかに料金水準が低いが、それは、民宿改築の際に自家山林から木材を伐採し、大工工事も当主が手伝うこと、暖房用熱源に自家山林からの薪材を多用していること、さらに自家有機農産物の食材への多様などによって自給部分を多くし、全体のコストを引き下げていることによる。 (6)観光地やスキー場に近い農家民宿は年間を通じて集客しているが、それ以外の場合は、滞在客のために様々なプログラムを用意して集客努力を行っている。ということは、ヨーロッパのグリーンツーリズムの需要者は、必ずしも滞在中に何もしないで過ごしているのではないことを示している。
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