1998 Fiscal Year Annual Research Report
デルタの21世紀後-熱帯アジアの6大デルタの発展に関する総合的比較研究
Project/Area Number |
09041066
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海田 能宏 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (00026452)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
タナワット・チャルポンサ タイ, チュランロンコン大学理学部, 助教授
閻 小培 中国中山大学, 城市与区域研究中心, 教授
ロトン・ラル・チョクラボ バングラデッシュ, ダッカ大学・文学部, 教授
野間 晴雄 奈良女子大学文学部, 教授 (00131607)
冨田 正彦 宇都宮大学, 農学部, 教授 (60074051)
|
Keywords | 熱帯アジア / 大デルタ / 土地利用の変貌 / 海型デルタの都市化 / 海型デルタの農村発展 / 景観史・景観 / 地域発展 / デルタの21世紀像 |
Research Abstract |
熱帯アジアの6大デルタ(珠江,紅河,メコン,チャオプラヤー,イラワジ,ベンガル)を対象にして,専門領域を異にする11名の研究者が共同調査し,知見と意見を交換する.それによって,それぞれのデルタの生態的・歴史的環境の元で生起した固有の発展の経緯をたどり,それぞれのデルタの発展過程の個性を総合的に把握して,現在進みつつある経済発展下での土地利用景観の大変貌の意味付けを行う.その上で,21世紀の工業文明のもとでの熱帯デルタの景観的イメージを総観的かつ具体的に描くことを目標にした. 本年度は,中国広東省広州の珠江デルタとタイのチャオプラヤーデルタをそれぞれ2週間ずつメンバーほぼ全員が同時に一緒に調査し,対象物を眼前にして議論し,また現地で2日間ずつワークショップを開いて意見交換をした. 珠江デルタの急速な経済発展と都市化現象は,省レベルの政策に沿った面もあるが,その原動力は地元民の生来の企業家精神に負うところが大きい.これは,元来珠江デルタが地元資本家の請負新田開発という形で,多くの中小の都市的拠点を形成する方向で発展してきたという歴史的背景がある.その上に地方分権的な政策がとられた結果,各地方が香港資本を呼び込み,完全競争下で過当競争をしてきた.当面はバブル経済のもと,外資・外来技術依存型の工業化を加速させつつ,デルタ全域における秩序なき都市化を伴ないつつも,将来は一大メトロポリスを形成し,中国南部の巨大核心域に成長する. チャオプラヤーデルタは,海型デルタの典型として,バンコクを巨大中心都市とし,数個の衛星都市を従えた大メトロポリスに発展するであろう.田園は秩序なき都市化に飲み込まれつつも,近郊農業地域として高い生産性を誇る地域となろう.都市化過程において,土地は投機の対象とされ,自作あるいは自小作農業は成立せず,請負耕作の形をとるであろう.
|