1997 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア極東における農村社会の変動に関する調査研究-極東農業の地帯構成と日本農業の比較を中心に-
Project/Area Number |
09041073
|
Research Institution | Hokkai-gakuen University |
Principal Investigator |
大沼 盛男 北海学園大学, 経済学部, 教授 (80145979)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 徹 札幌大学, 経済学部, 教授 (90104900)
山村 理人 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (60201844)
大矢 温 札幌大学, 外国語学部, 助教授 (20275465)
志賀 永一 北海道大学, 農学部, 助教授 (50235511)
佐々木 洋 札幌学院大学, 経済学部, 教授 (00074899)
|
Keywords | 農業改革 / 国営農場の改組 / 個人農(フェルメル) / 農民経営協会(アコール) / 農業協同組織(コ-ペラティブ) / 主穀生産 / 家庭菜園農家 / 商品クレジット(現物取引) |
Research Abstract |
ロシア農業改革による国営農場の改組、個人農の成立は改革後、急激な進展をみせたが、うち極東では1994年を境に改組農場の二極化や、個人農の新規参入低下や離農に象徴されるような変化は依然として続いている。 ハバロフスク地方では最近1年で個人農が約10%減少したため、アコール(農民経営協会)運営の危機は事務局専従体制が解体し、運営の一部を州政府に委ねるという変化を生んだ。だが離農者は農業経験のない新規参入者であり、残存者は経営装備が完備し、技術水準は高い。一方、改組農場の分解は独自の経営方針や経営能力が高い経営は発展傾向にあり、反対に在来の国営農場の経営体制にとどまる経営は後退過程にある。 沿海州では250の国営農場が1991年、112の有限会社、30の株式会社、20の農業協同組織に改組したが、最近年の生産減退が大きく、1997年は1940年の水準に低下している。個人農も1991年の5,200経営が97年には3,420に後退し、部門別では飼料不足による繁殖率の低下などによる畜産部門の減退が大きい。残存経営の50%は10ha以下の小規模農で、農産物のシェアは3%水準に過ぎない。農業後退の原因は国家財政支援の停止、低価格の輸入農産物の増加、商品クレジットの利子高騰などによるものであり、農場、個人農共に経営条件は悪化している。 サハリン州では、限界地域農業として、個人農では近郊野菜生産や馬鈴薯などの主穀生産に、改組農場では酪農・畜産部門に特化している。ほかに家庭菜園農家の広範な成立が特筆され、市場対応は小型直売場に出荷する。 さらに、日本農業との比較研究のため、これまで調査上の便宜供与で貢献したP.Y.Baklankv太平洋地理研究所所長、A.S.Sheingauz経済研究所副所長を北海道に招き、十勝地域農村調査を実施したほか、大学・試験研究機関、農業団体との検討会を行い、極東農業と北海道農業の地帯構成変化に関する比較研究の成果を交換した。
|
Research Products
(1 results)