1997 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける新たな階級の抬頭とカースト・システムにおける「差異化」の動態
Project/Area Number |
09041085
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
杉本 一郎 愛知大学, 文学部, 教授 (40079380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
パンダ G.B. インド中央政府, 地域開発委員会, 副アドバイザー
三上 勝也 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (10068752)
山本 剛郎 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90068742)
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Keywords | カースト・システム / 都市化 / 信念・文化体系 / アンデンティティの形成 / 階層構造 / 企業文化の変容 / カッシュナッツの大規模経営 / 観光産業の変化 |
Research Abstract |
1991年以降,インドは経済自由化政策へと方向を転換し、以後産業,経済における躍進は著しい。しかし従来この分野の研究は主として労働,雇用,工業,貿易,資源,技術,資本等との関連で進められてきた。周知のごとくインドの社会構造的特質はカースト・システムに求められる。とはいえ、このシステムは社会,文化,生活,考え方,教育,人間関係にも浸透し、否むしろこの面におけるインド社会の,またインドの人々のアイデンティティすら構成していたといえる。にもかかわらず産業化の社会的・文化的インパクト,それに伴う構造変動,変容の総合的研究は十分でなかった。加えて「新たな」ともいうべきカースト・システムを横断し,縦断する「階層」の形成への着目は乏しい。新たなかかる構成が従事の構造といかに交錯しつつあるか,その実態を特定産業に限定せず把握しようとするのが目的である。 平成9年度は当初の実施計画にそくして上記目的に適した調査対象地選定のための予備調査を特定地域にかぎらず研究代表者,研究分担者全員もしくは分担しつつ,調査した。それぞれの地域の現状の観察を研究者各自の役割,課題に応じて,また要人とも面談して聴取り調査をもおこない,十分ではないが資料も収集した。 最終的に本調査対象地として(平成10年度実施)次の3ヶ所に決定した。(1)Chennai地方70km,A・P州に立地する 日系企業“NIPPO"と周辺村落TADAの調査(従業員及びその家族) (2)A・P州最北端(ORISSAに隣接)のPALASA村(カシュナッツ生産高はインドの主要生産地)における大規模経営の実態と村落の変容 (3)Old GoA周辺地域,観光産業地であるとともに,近年工業生産力を増大し,新鉄道線路も敷設され新たな進展を見せている。
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