1998 Fiscal Year Annual Research Report
商船を利用した日本,オーストラリアの海洋変動の反復調査
Project/Area Number |
09041110
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金子 新 広島大学, 工学部, 教授 (10038101)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
轡田 邦夫 東海大学, 海洋学部, 助教授 (40205092)
淡路 敏之 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40159512)
花輪 公雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40142921)
山形 俊男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50091400)
杉本 隆成 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40004428)
|
Keywords | 西太平洋 / 黒潮 / エル・ニーニョ / 商船 / ADCP / 長期反復計測 / 気候変動 / 異常気象 |
Research Abstract |
商船を利用したADCP観測は、順調に進行し1999年2月現在ではちょうど第16回航海がカナダのRoberts Baんkに向かって行われているところである。1998年度に行われた航海の内、第9〜11航海は西オーストラリアのPort Hedland、第12回、14回航海は、西オーストラリアのDampier、第13回航海は南アフリカのSaldanah Bay、第15回航海は東オーストラリアのNewcastleを寄港地として行われた。これらの全航海においてADCPデータの収得にほぼ成功した。また、第11回航海では、広島大学と九州大学から教官2名と大学院学生1名が乗船しXBT,XCID観測を行った。本年度に得られた、主な研究成果を以下に列挙する。 (1) 船底直下の流速データを注意深く解析することにより、100m以浅で現われる非常に大きな鉛直流速が、船舶波によって発生することを見い出した。ADCPトランスデューサの取り付け位置が、ちょうど船舶波の山になっていることから、この船舶波の影響は水平流速には現われないことがわかった。 (2) 航路に沿った30m深から200m深までの高精度(約5cm/s)の流速の鉛直断面分布(水平測定幅10km..鉛直測定幅10m)を計測することに成功した。 (3) 北赤道海流は、1998年7月頃から、急激に勢力が弱まった。 (4) 1997年8月と1998年8月の乗船時に得られた水温データを比較することにより、1998年8月の水温が1997年8月に比べて西太平洋全体で約3°C上昇していることがわかった。これは、1997/98エル・ニーニョが終息したためである。 (5) 1997年データと比較して、1998年データには、亜熱帯反流はほとんど認められず、21°〜23°Nの海流の方向はむしろ西向きであった。 (6) ミンダナオ島沖を南下するミンダナオ海流は、流速がミンダナオ島に近づくにつれ指数関数的に増大することが発見された。このミンダナオ海流の流路幅は約200kmで、この海域のロスビーの内部変形半径(約180km)と良く一致する。
|
-
[Publications] I.Ueki: "Short-term variabilities of upper ocean current in the warm pool region during TOGA/COARE IOP" J.Oceanogr.54. 227-240 (1998)
-
[Publications] Y.Yuan: "The Kuroshio east of Taiwan and in the East China Sea and the Currouts east of Ryukyu Islands during early summon of 1996" J.Oceanogr. 54. 217-226 (1998)
-
[Publications] X-H.Zhu: "Observation of mixed Rossby gravity waves in the western equaterial Racifice" J.Oceanogr.54. 133-141 (1998)
-
[Publications] H.Zheng: "Design of the acoustic tomography system for velocity measurement with an application to the coastal sea" J.Acoust.Soc.Jpn(E). 19. 199-210 (1998)