1997 Fiscal Year Annual Research Report
中南米における有鉤条虫と単包条虫の遺伝的多様性と環境適応
Project/Area Number |
09041137
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥 祐三郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (60133716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALGOR Ramir ウルグアイ共和国大学, 衛生研究所, 助手
CARMONA Carl ウルグアイ共和国大学, 衛生研究所, 助教授
八木 欣平 北海道立衛生研究所, 科長
野中 成晃 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (50281853)
神谷 正男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30081665)
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Keywords | 単包条虫 / 有鉤条虫 / 環境適応 / 疫学 / 中南米 / ウルグアイ / ブラジル / 寄生虫 |
Research Abstract |
寄生虫はそれぞれの流行地において、環境や宿主に適応して生存している。単包条虫および有鉤条虫はともに重要な人獣共通寄生虫で、全世界的に分布し、種内変異が示唆されている。本年の調査目的はウルグアイの単包条虫の流行状況調査、ブラジル、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの有鉤条虫の流行状況調査と、ヒツジ由来の単包虫と豚由来の有鉤嚢虫の採取と採取された幼虫の終宿主(もしくは代替終宿主)への感染実験である。ウルグアイでは駆虫薬投与システム改善により、家畜の単包条虫感染率が顕著に減少していたが、単包条虫の原頭節のヒツジからの採取には成功した。その後の犬への感染実験は成功し、虫卵が回収された。犬の糞便内抗原による単包条虫の診断方法についての検討も加えた。一方、代替終宿主(スナネズミ)への感染は成功しなかった。ウルグアイの単包条虫に関する環境適応の研究には理想的な国と考えられたが、駆虫薬投与システム改善による単包条虫防除効果が顕著になるにつれて今後の調査研究は困難になりつつある。本年は農家における調査は実施できなかったが、屠畜場でのヒツジ及び牛の単包虫材料によるDNAの検査では遺伝的変異は観察できなかった。次に、有鉤条虫の流行については中米(メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス)では確認され、豚から有鉤嚢虫の採取に成功し、さらに代替終宿主(スナネズミ)において100日後まで成虫の定着が認められた。虫卵の産生は認められなかったが、成熟片節までの発育は確認された。一方、ブラジルにおいては流行地と言われているバイア州における豚の調査では、血清診断を試み、血清診断陽性豚を剖検したが、全く有鉤嚢虫は検出できなかった。
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