1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本及び欧州産モンシロチョウの雌特定視覚信号の亜種間比較
Project/Area Number |
09041151
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
小原 嘉明 東京農工大学, 農学部, 教授 (60014958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MAJERUS M.N. ケンブリッジ大学, 遺伝学教室, 講師
佐藤 俊幸 東京農大学, 農学部, 講師 (80242238)
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Keywords | モンシロチョウ / 配偶行動 / 雌雄識別 / 視覚的リリーサー |
Research Abstract |
欧州産モンシロチョウの配偶行動の観察・実験 (1) 配偶行動の追確認 昨年の予備的行動観察結果を参考に配偶行動を詳細に観察した。その結果昨年の観察が追認された。またこれらの配偶行動は基本的に日本産モンシロチョウと同じであることが確認できた。 (2) 雄による配偶者(雌)特定 次に雄はいかにして雌を特定するかを知るためにまず雄と雌の標本を15cm離してキャベツの葉に固定して雄の反応を観察した。その結果 (1) 雄は雌(標本)に有意に高頻度で接近し、さらにそのうちの約85%は雌に接触し、その約60%は交尾を試みた。 (2) 一方雄は雄標本にも雌の接近頻度の約70%の頻度で接近し、そのうちの約90%は雌に接触し、さらにその50%は交尾を試みた。 (3) 以上より欧州産モンシロチョウの雄は有意により高頻度で雌に接近し交尾を試みるが配偶者の識別は必ずしも明確ではないことがわかった。 (3) 配偶者特定のリリーサー解析 (2)の結果に基づき、雄による配偶者特定のリリーサーを解析した。そのために(2)に用いた標本を透明塩化ビニール板にはりつけ、さらにそれをサランラップでおおって(2)同様の観察、実験を行った。その結果 (1) 基本的に(2)の(1)〜(3)と同様の結果が得られた。 (2) ただし交尾の試行は雌標本に対してきわめて低頻度で起こったが、雄標本にたいしては全く起こらなかった。 (3) 以上より雄による配偶者特定は視覚的に行われることが示された。
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