1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本及び欧州産モンシロチョウの雌特定視覚信号の亜種間比較
Project/Area Number |
09041151
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture & Technology |
Principal Investigator |
小原 嘉明 東京農工大学, 農学部, 教授 (60014958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊幸 東京農工大学, 農学部, 講師 (80242238)
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Keywords | モンシロチョウ / 配偶行動 / 性的行動隔離 / 亜種間交雑 |
Research Abstract |
昨年度までの研究によって,欧州産モンシロチョウの雄による配偶者認知の視覚的鍵刺激(雌の翅の色)は,日本産のモンシロチョウのそれと異なること,つまり後者の鍵刺激は淡黄色と紫外色から成るのに対して,前者のそれは黄色で紫外色を含まないことが明らかになった(Obara Y & Majerus MEN,in press:Zoological Science).このことは両亜種は配偶者認知の鍵刺激の違いから、行動的に隔離されている可能性を示唆する. そこで本年度はこれを確かめるために,両亜種の雌の翅を雄に提示し,雄がそれぞれ他亜種の雌の配偶者として認知するかどうかを実験によって調べた.その結果,日本産亜種の雄は同亜種の雌の翅に誘引されたが,欧州産亜種の雌の翅には誘引されなかった.一方欧州産亜種の雄は同亜種の雌の翅に誘引されたが,日本産亜種の雌の翅には誘引されなかった.しかし日本産亜種の雌の翅を黄色味の強い低温型(春型または秋型)の雌の翅に変えて提示すると,これに強く誘引されることがわかった.この結果は,両亜種は部分的に行動的生殖隔離されていること,つまり夏期の比較的高温時には亜種間の交雑は起こりにくいが,春または秋,あるいは高地の低温地域では欧州産雄と日本産雌との間に交雑が起こる可能性を示唆している. 次に両亜種の交雑を試みた結果,日本産亜種雄と欧州産亜種雌間の交雑が2例得られた.この2頭の欧州産亜種雌から合計50匹以上の幼虫が得られたが,そのすべては体全体に白色のまだら模様を呈し,両亜種のいずれの幼虫とも異なっていた. さらに両亜種間の遺伝的系統関係を明らかにするために必要なミトコンドリアDNAの塩基配列の決定を試み、その基礎的技術を確立した.
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Research Products
(1 results)