1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09041168
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Section | Field Research |
Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
真鍋 真 国立科学博物館, 地学研究部, 研究官 (90271494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOHNSTON Pau ロイヤルティレル博物館, 古生物学研, 室長
BRINKMAN Don ロイヤルティレル博物館, 古生物学研, 室長
NICHOLLS Eli ロイヤルティレル博物館, 古生物学研, 室長
重田 康成 国立科学博物館, 地学研究部, 研究官 (30270408)
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
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Keywords | 魚竜 / 適応放散 / 海棲適応 / 三畳紀 / パンサラッサ海 |
Research Abstract |
魚竜は、三畳紀初期に出現、多様化したものの、その殆どは三畳紀末までに絶滅し、ジュラ紀以降は、海生適応を極めた少数のグループが繁栄した。しかし、三畳紀中後期の化石資料が不十分なため、海生適応への進化過程には謎が多い。本研究の目的は、最近発見されたカナダ・ブリティッシュコロンビア州の三畳紀中後期の2層準から多産する魚竜を発掘調査し、魚竜の初期の多様性とその後の海生適応への背景となった古環境、古生態を明らかすることである。平成9年度は、ブリティシュコロンビア州の三畳紀中期のSulphur Mountain層と三畳紀後期のPardonet層分布域の2地点を7月中旬から8月中旬にかけて調査し、多数の爬虫類、魚類、無脊椎動物化石標本を採集することが出来た。平成8年度までの予備調査、研究の結果、日本の三畳紀前期の魚竜Utatsusaurus、中国の同時期の魚竜Chensaurusがカナダにも生息していた可能性が出てきたため、三畳紀中期には古太平洋の両岸で同様な魚竜が生息し、魚竜の多様化はまだ進んでいなかったという仮説を着想した。しかし、平成9年度の調査では、それらのアジア的な魚竜に加え、これまでヨーロッパでしか産出例のない海生爬虫類に分類できる可能性のある標本を得ることが出来た。平成10年2月に、研究分担者Elizabeth Nichollsを、ヨーロッパのコレクションに派遣し、比較標本の研究を行い、三畳紀中後期の北米西岸には、古太平洋と、古地中海の要素が共存していた可能性を指摘することができた。さらに、原始的な魚竜Parvinatatorの良好な標本が産出したことにより、魚竜の海棲適応において、四肢のヒレ化よりも、頭蓋の流線型化が先行していたことが指摘され、他の二次的に海棲適応した脊椎動物とは、異なった適応プロセスをたどったかもしれない可能性が明らかになった。
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